世界の中心は君。



君が死んだら明日なんてこないんでしょう?






この世の果てまで






宗一郎を見に来てたのに。

ただそれだけだったのに。



「!!」



練習中に名前呼ばれるなんて変だなって思ったんだよね。

その後鈍い音と痛みが走って、意識が途切れた。


























「…あれ」

目を開けると白い天井が。
いつの間にかベッドの上で寝ていてぼんやりとなんでかな?と考える。

「あ、。起きた?」

足音がして覗き込んできた宗一郎の顔。
そして後ろには罰の悪そうなノブの顔。

「…あたし、どうしたの?」

「信長のパスミスのボールが当たったんだよ。後頭部痛いでしょ?」

「ん…あ、本当だ。コブになってる…」

「ほら、信長」


宗一郎が振り向いて信長に前に来るように促す。
さっきより声のトーンが下がった。ちょっと怖い。


「す、すみません…!」


いつも元気なノブが今にも泣きそうな顔して謝ってきた。
なんかこっちが悪いことした気になってくる…!
がばっ、と起き上がってノブを慰めた。


「い、いいよ。ノブ。気にしないで!」

「…だっ…て!先輩…頭…頭打ったし!」

「ああ、まぁね。冷やせば平気だよ」

「だって!頭打ったら、次の日死んじゃうんスよ!?」

「!!!!?」


いきなり何を言い出すんだ。
え、そんなヤバイカンジなのあたし?


「え、ちょっと。怖いじゃんか」

「先輩が死んだら俺のせいだぁあああーー!!!」

「ええええちょっと!やだ!やだあぁぁー!まだ死にたくない!!」


ヒヤリ。
半べそかいてノブと大声大会していると
宗一郎が氷を後頭部に当ててくれた。


「、痛くない?」

「…い、たくない…気持ちいい…」


優しい。宗一郎優しい。
ど、どうしようあたし死んじゃったら…


「?どうしたの。なんで泣いてんの?」

「…っく…あたし、明日死んじゃったらどうしよう」

「え?」

「ノブが…頭打ったら次の日死ぬって…言うから…」

「……」

「まだ死にたくないよ。宗一郎に会えなくなっちゃうじゃんかぁ…!」

うわぁーと声を上げて泣いてしまった。
そしたらなぜかノブまで泣いてた。






「…」

落ち着いた声で、名前を呼ばれた。
宗一郎の声は不思議。聞いただけで安心する。

「…う、うん…?」

「大丈夫だよ。死んだりしないから」

「…で、でも…!」

「もし、が明日死んじゃったら」

「…うぅ…ッ…!」



「オレも明日一緒に死んであげるから」




「…そういちろう…」

「…まずノブを殺してからね」

「!!!!!」

「だから、とりあえず落ち着いて?ノブも変なこと言うと怒るよ?」

「「…はい…」」


指で拭いきれなかった涙を布団で拭いた(…怒られるかな)
宗一郎の手があたしの頭をずっと撫でててくれた。
ノブは宗一郎の隣で横のイスに座ってそわそわしていた。


「ノブ」

「はいっっ」

「さっきの死ぬとかいうアレさ」

「はい!」

「なんなの?」

「あ、マンガっす!」




マンガ?




「…それこないだラーメン屋で読んでた少年野球のマンガ?」

「それです!父ちゃんがボール頭に当たってっていうアレ!」

「…ノブラーメン屋でずっと泣きながら食べてたよね」

「だって超泣けたし!」

「マンガの影響で人勝手に殺すなーーーー!!!!」

「や、マジでだってぶつけたとき頭よぎったんスよ!!」


ギャーギャーとまた2人で言い合った。
だって!だってマンガって!
そんなんで人の不安あおりやがってーーーーー!!!!


「…ノブ。そろそろ部活終わる時間だから戻ってていいよ」


ゆっくりと息を吐いて、大声大会を遮って宗一郎がノブに促す。
ノブは即座にはい!と立ち上がり、あたしに頭を下げて保健室から出て行った。

「…宗一郎も行っていいよ?着替えもあるでしょ?」

「オレは別にあとからでもいいよ」

「…ねぇ、さっきの本当?」

「ん?」











「オレも明日一緒に死んであげるから」














「本当だよ。がいなくなったらきっと死んじゃうと思うんだよね」

「……!!」

「だから、オレより先に死なないでね」

「いや、あたしだって宗一郎死んじゃったら死ぬ!」

「あはは、じゃあどうしよっか」

「ねぇ、困ったねー」


「じゃあ」
















(死ぬ時は一緒にね)

(手繋いでね!)






end
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なんつー話だ…笑。
野球マンガはアレです。アレ。