それでもやっぱり僕は君のことを。 隣 の 彼 女 10 「・・・はぁ」 栄治と遊びに行った次の日。 制服を着ながら、はため息ばかりついていた。 (学校行きたくない・・・) のろのろと靴を穿いて玄関を出る。 重い足を引きずりながら 遅刻ぎりぎりで校門をくぐった。 昨日、栄治と無理矢理別れたあと メールと電話が3回づつ着た。もちろん栄治から。 どんどん気まずくなるのをわかっていながら すべてに返事をしなかった。 「!おはよ」 「・・・あーおはよう」 教室に向かう途中で、友達に後ろから声を掛けられた。 きっとあたしはひどい顔をしていたのだろう。 友達がびっくりした顔をしている。 「・・・ど、したの?」 「どーもしないけど」 「いやーやばいよその顔」 「・・・そこまで言わなくても・・・」 「なんか、話したいことあるんじゃないの?」 「・・・ある」 友達がにや、と微笑む。 2人で教室とは反対の方向へ進もうとしたその時に 「!」 後ろから、手を捕まれた。 「わあ!」 「え?沢北?」 「栄治?!」 「ごめん!借りる!!」 「は!?私!?」 ぐい、と手を引かれてそのまま 私は栄治に連れ去られた。 「・・・え?なんで・・・ここ?」 連れてこられたのは、保健室。 栄治は質問に答えずにドアを開けた。 「ちょ、えいじ・・・」 「今日、保健の先生休みなんだ」 手を引かれたまま、保健室に入る。 栄治の言ったとおり先生は居らず机の上には「不在」の札が置いてあった。 「・・・ホントだ・・・」 「、こっち」 栄治が一つのベッドの白いカーテンを開ける。 そのベッドに座らされた。 「・・・今日みんなさぼり放題じゃん。ねぇ?」 「・・・・・・」 「・・・栄治?」 手は変わらず握られたままで 栄治は顔はこちらを向いているけれど 目は違う方を向いていた。 (・・・あ、私そーいえば・・・) 自分のしたことをすっかり忘れていた。 はっとして、口元を押さえて栄治の方を見る。 栄治は、少し辛そうな顔をしていて その時やっと目を合わせてくれた。 「・・・昨日・・・」 「あ・・・」 「俺、昨日なんかした?」 「違うの!昨日は楽しかったんだけ、ど・・・」 「・・・じゃあ、なんで・・・」 「いや、あの・・・あのね・・・」 栄治が泣きそうな顔をしてるのがわかる。 だけど、私も 私もどうしていいのか、わからなくて。 (ずっと、ずっとずっと一緒に居たけど) (もっと、もっともっと一緒に居たくて) 言葉が出てこない。 代わりにぽろぽろと目が涙がこぼれる。 栄治が目を丸くして驚く。 泣くつもりじゃなかったのに 「ごめ、、泣かすつもりじゃなくて!」 「や、ちが・・・ちがうの」 (離れてても平気だなんて) (そんなの、平気なわけないのに) (強がっちゃって、あげくに泣いちゃって) 「・・・栄治から・・・」 「・・・うん」 「離れるのが怖くて」 「・・・・・・」 「あたし、離れる覚悟が出来てなかった」 「・・・・・・・・・」 待ち合わせをしたのは初めてだった。 一緒に街を歩いたのも初めてだった。 女の子に囲まれる栄治も初めて見た。 まだ、見たことのない君がいっぱいあるんだと思ったら。 「楽しかったから、離れるのがいきなり怖くなって・・・」 「栄治、ごめんね」 「・・・」 ずっと握られていた手が放れた。 そして、そのまま視界が遮られた。 「えーじ・・・」 「、こんなの卑怯だと思うんだけど」 抱きしめられた腕に力が籠もったのがわかった。 「俺は、が好きだ」 「・・・!」 「が寂しい時側にいれないかもしれないけど」 「俺の、わがままなんだけど」 「それでも、俺は、が好きなの!」 「えいじ・・・」 「だから、」 「俺と・・・、け・・・・・・」 「結婚して!」 一 瞬 、 こ の ま ま 時 間 が 止 ま れ ば い い と 思 っ た 。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 → |