考えるのは 君のことばかり かわいい君が好きなモノ。 午前中の公園。 買ったばかりのワンピ着て 買ったばかりのサンダル履いて オシャレしてきたアタシをどん底に突き落とすには十分な一言。 「ごめん!今日午後から練習になった!!!」 栄治がパン!と手を合わせて頭下げて ブランコに乗っていた私に謝った。 「えーーーー!!!?今日えいがみるっていってたのに…」 「ほんっっとにゴメン!」 栄治はまだ顔をあげない。 頭ではわかっているし、これだけ謝ってくれてるんだから 許してあげたい気持ちもある。 だけれども。 どーーーーしても どーーーーーーしても そんなに簡単に許してあげられるほど大人でもない。 (この日をどんだけ楽しみにしてたと思ってんの!?) (テスト頑張って、お小遣い貰って新しいワンピ買ったのに!) ぐるぐると頭を巡る色んな思想。 何も喋らず怒りも悲しみもしないあたしを前に 栄治はおそるおそる顔を上げた。 「怒った…?」 「……おこった」 「…ご、ごめ…」 「えいが…」 未練がましくぽそり呟く。 栄治がバツが悪そうに頭を掻いた。 「…」 「…なに」 「…………アメたべる?」 「は!?」 栄治のほうを見ると、ちゅっぱちゃっぷすが差し出されていた。 「…好きだろ?」 「…好きだけど…今怒ってんだけど」 「…じゃあ…チョコたべる?」 「…はぁ!?」 ごそごそと何かしたかと思えば今度はぽっきーを差し出す。 「……だ、だからあたし怒ってるんからお菓子なんて…」 「…じゃあプリン食べる?」 「プリン!?」 栄治の手には焼きプリンがあった。 「…何がしたいの」 「絶対怒ると思ったから…」 「…から…?」 「機嫌とろうと思って」 「…お菓子で?」 「…うん」 (子供じゃないんだから…) だけど悔しいことに出されたお菓子は全部あたしが好きなモノばかりで。 栄治があたしが好きなモノ考えて選んできてくれたのかな とか、想像したらなんか笑えてきた。 「…しょーがないな」 「許してくれんの!?」 「まだ」 「!!」 「あれ買ってくれたら許す」 「…なに?」 「アイス!」 ぐい、と栄治の手を取って立ち上がる。 そのままコンビニの方へ歩きだした。 「あ、あたしはーげんだっつがいいなー」 「えっ…」 「どるちぇのヤツ!」 「…!!」 「ミルフィーユね!」 かわいい君が好きなものは ぼく と あいすくりーむ。 (やっぱりモンブランとティラミスも!) (アイスだけで千円飛ぶ!!) 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 どるちぇうまいよね。 |