そのギャップをなんとかしてくれ。 そろそろ心臓が持ちません。 ぼくの天使と悪魔 出会ったのは春。 「いってぇーー!!!」 余所見してたら、すっ転んだ。 ちょっと自分でも信じられないし恥ずかしいし 手のひらは擦り傷だらけでヒリヒリしてた。 「大丈夫?」 後ろから、声をかけられた。 振り返ったら背景が一面桜で、桜を背負った女の子がバンソーコ差し出してた。 「今転んだでしょ?手、痛くない?」 「あ、ああ。ありがと」 差し出されたバンソーコを受け取った。 わお。みっきーだ。かわいいな。 「あなた1年生?私もなんだけど、またどっかで会えるかもね」 にこっと微笑んで、その子は去っていった。 もらったみっきーのバンソーコよりもかわいいと思ってしまった。 ていうか、女の子を初めてかわいいと思った瞬間だった。 「えいじ!あたしのノートどこやったのよ!?」 「ええーしらねーよ!返しただろ!?」 「返ってきてないから言ってるんじゃん!!」 1年のクラスで、席が隣で。 現在。2年生になった今でも席が前後ろで腐れ縁になっていた。 だんだん口うるさい女友達となりつつあるけれど みっきーのバンソーコ貰ったあの日からだけは特別のまま。 「さわきたーお客さんだよー」 「うぃー」 「あっ逃げた!!ノートは!!?」 「返したじゃんよ〜オレの机漁ってみれば!?」 そう言い残して、教室のドアまで行く。 お客さんというから見てたらそこには新しく入った1年のマネージャーだった。 「あ、あの沢北先輩コレ深津先輩からです!」 あわあわしながらマネージャーが紙を差し出す。 うげ。何これ。新メニュー? 「あと!あの!!」 「ああうん。何?」 「これ!よかったら食べてください」 小さなリボンのついた袋。 食べてくださいというあたり食べ物らしい。 「あ、ありがと」 「あ、あの、これ、河田先輩とかにも配ってて特にあの意味は…」 「あはは。サンキュー」 紙と貰った袋を持って、席に帰る。 机をこれでもかってくらい漁られてると思ったら はじっ、とこっちを見ていた。 「…あの子、新マネ?」 「うん。誰かさんがいっくら誘っても入ってくんないから」 「……あんな名門バスケ部のマネなんて無理だもん」 「ま、別にいいけどね」 マネージャーになって放課後会えるものいいけど 独り占めはできなくなっちゃうし。 「で、何もってるの?それ」 指差されたのはさっき貰ったリボンのかかった袋。 そういえば、と思いかかったリボンを解いてみる。 「クッキー?」 「…はーと」 「………え??(なんか顔怖い)」 「ハートばっかだね」 「え!?そう?」 「…さっさと食べれば」 「え?え??」 「あと、ノート奥の方で丸まってけど。もう栄治にはノート貸さない」 くるり、顔を背けられては席に座った。 すぐ前にいるのに、話しかけるなオーラが出てた。 (え、これのせい…かな?) じっ、と見つめる先にはハートのクッキー。 ひじを突いたまま、それを一つまみ。 「、」 振り向いてくれないかもしれないけど、呼んでみる。 なんだかんだで、は優しいから。 「…何」 「あげる」 ずい、口元にクッキーを持っていく。 は勢いでそれを食べた。 「ぅわ…食べちゃったじゃん!それ栄治が!」 「え?だからオレも食べてるじゃん」 サクサク、と音を立てて栄治もクッキーを食べる。 「おっうまいコレ」 「栄治乙女心がわかってないね」 「そう?」 「…そうだよ」 「…の機嫌が直ればいいなーばっかり考えてたんだけど」 「……あたしは…別に…」 顔が真っ赤。 結構オレ乙女心わかってると思うんだけど? 「」 「なに」 「オレ、チーズケーキがすきなんだけど」 「………だから?」 「作ってきてくれるっしょ?」 「…気が向いたらね」 怒ったり笑ったり拗ねたり赤くなったり 最初のころからひとつも変わらない。 ぼくの特別は君だけ。 end 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 世に言うツンデレを目指しました。 栄治がニセモノだー |