誰がなんと言おうと



泣けちゃうほど好きなのは君!






Baby Don't Cry






栄治がなんか言ってたけど聞こえなかったし

周りの女の子たちもなんか引いてた



周りの目を気にして会いに行かない私も悪い。

バスケの練習で遊びに行けないのもしょうがない。







走って走って走って
握り締めた手にどんどんチカラが入っているのがわかる。



悔しい

腹立つ!!


久しぶりに見た栄治が
女の子に囲まれてるところだったなんて最悪!!
バスケしてるときのかっこいい栄治が見たかったのに



「はぁ…っ…」
気づけば肩で息をしていて
まだ、汗をかく季節ではないけど、
立ち止まったは少し汗ばんでいた。
それだけ、全力で走ったのだ。

あまりまわりを見ずに走ってきたので
学校から結構離れていたことに驚いた。






「ここ…どこ…」

酸素が足りなくて頭が回らない。

でもさっき自分が言ったことは覚えてる。


(きらいって言っちゃった)


もう、おしまいかな?


好き、なんだけどな。


感情任せに叫んでしまったけれど。
いまさら悔やんだって、言ってしまったものは取り返しがつかない。


「…っぅ…」


道端で泣くなんて、思いもしなかった。
でも考えれば考えるほど悲しくなって



「えいじ…」


























「捕まえた!!!!!」

「!!!?」



いきなり後ろから手を掴まれた。
は驚いて、声が出ない代わりに身体が跳ねた。

「え…あ…えい、じ?」

「よかったー追いついて」


道端にもかかわらず、ぎゅうと栄治はを抱きしめた。
抱きしめられて、気づいたのは
栄治の身体が温かくて、少し息があがっていたコト。

走って、追いかけてきてくれたの、かな。

練習で疲れてたのに



「…ごめんね、栄治」


涙でくしゃくしゃの顔があげられなくて、
栄治の胸に顔を隠したままは呟いた。

「なんでが謝るんだよ。オレが悪いのに」

「…だって、あんなのあたしのわがままだよ」


女の子に囲まれてるの見て、キレて叫んで
ああ見苦しいことこの上ない!

アタシ、世に言うめんどくさい女だよね?


「違う」

「違わない。ごめんねこんなめんどくさい女で…」

「だから違うって!!」

少し大きな声で栄治が言うから
驚いて顔を上げた。

私の目が涙目だからそう見えただけかな?
栄治も泣いてるように見えるなんて。

「…栄治…?」

「ごめん、泣かせて」

「んーん」

「オレ、に甘えてたんだよ」

「え?」

「は、ずっとオレの傍にいてくれるって
 調子に乗ってたんだよ。寂しいの我慢してるのに気づかなかった」

「えいじ…」

「ごめん」


さらにチカラを込めて抱きしめられた。

我慢してたのに

そんな愛しそうに抱きしめないでよ。

また泣けてきちゃうじゃない。




「」

「…っ…んん…?」


ずっ、と鼻水すすって鼻声で返事をする。

「もう、オレのこときらいになった?」

少し不安そうな栄治の声がした。
なんかもうこれ以上栄治を不安にさせたくなくて

「え…あ、なっ、なってない!!!!」

がばっ!!顔を上げてが叫ぶ。
気づけば、栄治のTシャツはぐしょぐしょで
むしろ自分のが嫌われてないか心配になった。

「よかった」

だけど栄治は笑ってくれた。







そのあと、涙をぬぐって深呼吸。
よく見たら、やっぱり栄治も涙目では笑ってハンカチで拭いた。

気づけば栄治はTシャツのままで
2人は手を繋いで学校まで戻った。



「あ、栄治明日大変だよ」

「なんで?」

「河田先輩がね、明日、栄治にプロレス技かけるって言ってた」

「マジで…っちょ、助けてよ」

「いやーお願いしますって言っちゃったもん」

「ひどくね?」

「栄治のがひどいよーなんか女の子ばっかと一緒にいるし」

「…ごめん。今度から断るから…」

「…から?」

「練習見に来てくれる?」

「…怖い人たちから守ってくれる?」

「ダレ怖い人たちって」

「う…(そうか栄治はわかんないのかぁ)」

「わかんないけど、守るよ。が大切だからね」


あーずるいなぁ

今のど真ん中来たよ。

あたしこそ、栄治にばっかり甘えてらんないなぁ


「よし、じゃああたしも河田先輩から栄治を守ったげるよ!」

「頼んだ」



がし、と繋いでた手を両手で掴まれた。















「あーでもやっぱ無理だー河田先輩に適うわけないじゃん」


「ちょっ!裏切り早くない!?」











(泣かされたら、あたしが慰めてあげるから!)



end
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ヲトメチックを目指しました。
どうなの。