怖いのは幽霊と心霊写真と君。






眠れぬ夜は君のせい






「やっばい、これやばいって」



すみません独り言です。
しかも人の家です。



午後7時半。
今日は楓のご両親とうちの両親が合同で子供たちを置いて
旅行へ行ってしまったので、ご飯を作りにやってきました。
シーフードカレーです。意外に早く出来てしまって
楓が帰るまでテレビをつけようと思ったのが間違い。


『写真のここのトコロですね、この間。わかりますか?顔なんですよ』


「…あああああ顔だよ…こわっこわいっ誰!?」


また独り言です。
怖いのほんとは嫌いなんだけど、見ちゃうとなんか
途中で消せないという小心者。

ソファに座り、クッションをギュウと抱きしめて
1人でブツブツ言ってる様は中々気持ちが悪いと思うんだけど
テレビの霊能者が写真についてアレやコレやと語ることを
真剣に聞いている自分がいる。


『では、次の写真です。私はこれを見て本当に驚きました』

司会者が前振りをして、もっていた拡大写真を画面に写す。
その写真は今まで見た中でも1番怖い写真で、
海から無数の手が出ていた。

その瞬間


「ただい…「ひいぃぃぃいい!!!?」


後ろから声をかけられたせいで心臓が痛いぐらい跳ねて
ソファから半分落ちた。

「…何してんだ」

「か…えで…」

半泣きでチカラを抜けているを見て
チラ、とテレビを見る。
流川はなるほど、と納得した顔をしてため息をつく。

「怖ぇなら見んなっつってんだろ」

「だって見ちゃったら気になるんだもん」

「イチイチ悲鳴上げられてたらたまんねぇし」

「うっ…」

「腹減った」

「あ、うん。出来てるよ」


パタパタとキッチンヘ向かう。
カレーとサラダと準備して夕食を済ました。
楓がお風呂に入ってる間
特番だったあの番組をまた見てしまった。


(ああああバカじゃなかろかアタシ…!!)


山道を運転してる途中にいきなり後ろに白い着物の女が…
という再現ドラマをしている。
はさきほどと同じ格好でチカラいっぱいクッションを握り締めて
じぃ、とテレビにかじりつく。

後ろに居る女は黙って指を指し行き先を支持する。
運転していた男は怖くてそれに従い車を進めていく。

「…え、何、怖い、ドコ行くの」

ぽそり、とまた独り言を呟いた瞬間

「コラ」

「!!!!!!」

頭をがっ、と掴まれて声をかけられた。
肩が大げさに動く。
心臓はもうバクバク鳴りっぱなしだった。

「見んなっつったろーが」

「……だって」

「つうかお前帰る時間じゃねーんか」

「え?だって…ウチ誰もいないし」

「…をちゃんと家に帰せって言われた」

「え!!?あたし泊まったらダメなの!?」

「…普通は…ダメなんじゃねぇの」

「えー……いや…ちょっと…」

「なに」

「……楓!一生のお願い!!」

「………」




















***



























「…こうなるんか」

「だっ、だって!今日1人とか絶対耐えられないもん!」


クッションを握り締めたまま
はパジャマに着替えて流川のベッドの前に立つ。
流川はベッドに座ってガシガシと頭を掻く。


「…あ、あたし別に一緒に寝ても平気だもん」

「オレは平気じゃねぇ」

「…なんで?あたしと寝るのいやなの?」

「…別に」

「じゃあいいじゃん」


子供のころみたいだねーと、はしゃぎながらはベッドに登り
持ってきたクッションを枕代わりにして寝転ぶ


「ほら、楓早く寝ないと明日起きれないよ?」

「……」


なんの危機感も持たない自分の彼女を見てため息。
そんな葛藤している彼氏の心も露知らず
ニコニコと笑いながらぐい、と流川は腕を引っ張られる。


「…まぁ、チャンスはいくらでもあるしな」

「は?チャンス?」

「…うるせーどあほう」

「はぁ?」

「いいから、もう寝る」

「…腑に落ちないなぁ…まぁいいけど。おやすみ」

「オヤスミ」


腕をぎゅう、と掴まれて隣での寝息が聞こえる。
遠慮のない密着が理性をグラグラと揺する。



彼にとって今日は眠れない夜。







(次はやる。絶対やってやる)(んー…むにゃ)
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書いた怖い話は作り話です。あしからず。