まぶしい君。 私も後ろからついていってもいいかな。 青い天井 隣には君 「あ〜あ」 大体面白くないことがあると屋上で空を眺める。 今日の空はものすごく青い。 壁にもたれて空を仰ぐ。 この空とは裏腹に、深いため息をつく。 手には、再提出と書かれた進路指導調査の紙。 今日のテンションの低い理由はコレ。 「…まだなーんも考えらんないっつの」 わずらわしくて、その紙を破ろうとした瞬間 「何してる」 「あ、」 屋上仲間の流川くんに止められた。 何度か屋上で会って、お昼にパンあげたらなんか仲良くなって 今では普通に廊下で会っても挨拶する仲だ。 「進路調査…?」 「そ、流川くんのクラスでも書いたでしょ?」 「ああ…」 隣に流川くんが座る。 ああ近い。ドキドキする… 好き、とかではないけれど こんなに整った人が隣に座れば誰だってドキドキすると思う。 そう 誰だって。 「なんで再提出?」 「…あ…あー…白紙で出したから…?」 「白紙?」 「だって…自分が何をしたいのかわからなくて」 人に言われたコトを書いてもただむなしいし、やる気も何も起きない。 じゃあ何がしたいの?と聞かれてもそれがわからないから困ってるのに。 「流川くん何て書いたの?」 「アメリカ」 「え?」 「バスケで、アメリカ行く」 「…ほんと、に…?」 「アメリカでバスケして、プロになる」 淡々と語る流川くんは揺るぎなくて なんか、本当になれそうな感じがした。 て、いうか…いいのかな。 そんな…進路の話なんかしてくれて なんか大事なことを聞いてるみたいでさらにドキドキするんですけど! 「アメリカでバスケ、かぁ…すごいね」 「も行けば」 「…へ?」 「アメリカ」 「なんでそうなるの!?」 「得意だろ、英語」 「え、あ…まぁ…得意っつーか」 自分の成績の中で英語の成績がひとつ飛びぬけてるだけで 特別に出来る!とかではない…んだけど… 「今度、教えろ」 「え?」 「英会話」 「ああ、うん。勉強しとくよ」 とは、言ったものの 卒業しても会えるなんて思っていなかったけど アメリカなんて行ってしまったら道端でやぁ!もないのか… さみしいなぁ… たかだか屋上仲間の分際で何浸ってるんだろあたし… …て、いうか。 「流川くん」 「…ん」 あ、なんか寝そうだなこの人 会話が無くなるとすぐ寝るからすごいよね 「なんであたしが英語得意って知ってたの?」 勉強の話なんかしたかな? 中間がダルイーとか期末がイヤダーみたいな話はしたことあるけど。 「好きだから」 「…は?」 す き だ か ら ? 「え…ちょ、なにが?」 「…………」 「ちょっとおぉぉぉ!!寝ないでよ!!!」 流川くんの制服の襟を掴んでガクガクと揺らしてみる。 ファンの子に見られたらきっとあたしが襟元を掴まれることだろう。 「うるせー…」 肩を掴まれて、ぐいっと力任せに引き寄せられて そのまま口を塞がれた。 「!!!!!!!?」 どん、と流川くんを突き飛ばしてそのままへたり込む。 流川くんはそのまま眠りについてしまった。 キスした 流川くんと あの 流川くんと キ ス し た !! 顔が熱い。 口元を手で覆ったまま心臓のドクドクとした音が聞こえる。 流川くんを好きでもないなんてウソだったというコトに気づく。 手に入らないと思い込んでて、好きなハズないと思い込んでただけ キスされて気づくなんて卑怯なあたし。 カサカサと紙の音がして、先ほどまで自分が悩んでいたことを思い出す。 (…それどころじゃないんだけど…!) 「お前も行けば」 「アメリカ」 先ほど言われた言葉を思い出す。 本当は嬉しかった。 今からがんばって 今までがんばってきたあなたに追いつけるなんて思わないけど 「…がんばって、みようかなぁ…」 これから私ががんばることは2つ。 ひとつは英語の勉強と もうひとつは この無口な男に気持ちを伝えること。 (ていうか早く起きてくれないと心臓が持たない…!!) end 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 普通の同級生もの初めて書きました… こーいう関係も憧れです。 |