なんでもかんでも いっつもバレるのが悔しい。 嘘吐きハニー 人に気を使われるのが好きじゃない。 心配されるのが好きじゃない。 だから 具合が悪くても、何もないフリをする。 (あー…気持ちわるー…風邪かなぁ) ちょうど昼休みが始まるチャイムがなった。 机に頬杖をついて、はうつむく。 朝からなんか身体が重たい気はしていたが 無視して、学校に来た。 「ーごはん食べよう」 「うん!食べよー」 ああこれも性分かな。 食欲なんてちっともないのに、明るく返事をしてしまう。 それでも持ってきたお弁当を広げて いつものように友達とおしゃべりをしながら昼休みを過ごした。 (とりあえず、今日一日がんばるか) のん気に思いながら、ぼーっとしてきた頭と戦いながら 午後の授業もすべて受けた。 そして、放課後。 「…ちゃんさぁ、顔色悪くない?」 バスケ部観戦仲間の水戸くんが声をかけてきた。 なんて鋭い人だ。友達にも全然気づかれなかったのに。 「え?平気だよー顔白い?」 「…白いっつーか、元気ないっつーか」 ますます鋭いな水戸くん。 だけどここで気づかれるのもいやだしなぁ… 「いやいや元気だから!ほら!桜木花道シュートするよ!!」 わざと大声を出して、注意をバスケ部にそらす。 高宮くんたちがキレイに入った桜木花道のシュートに歓声をあげた。 「ん、まぁ無理すんなよ?」 「もー平気だって…」 「ウソつけ」 ぬっ、と目の前に現れたのは楓。 手には自分のジャージを持っていた。 「何こっち来てんの楓」 「着とけ」 ばさっ、と持っていたジャージを着せられた。 「え、いらないし」 「着ろ」 「いらないってば」 と、着せられたジャージを脱ごうと手をかけたが 流川の手がそれを静止し、じっとを見た。 「…な、なに」 「どあほう。オレが気づいてねーとでも思ってんのか」 「…っ!」 「朝から青い顔しやがって」 「う・うるさいな」 「黙って着ろ」 は何も言い返せず、流川のジャージに袖を通した。 流川はぽん、と椿の頭に手を一度乗せて くるり、練習へ戻っていった。 「流川って、ほんとちゃんしか見てねーのな」 ぽそり、水戸が呟く。 は、少し気が抜けてきたのかその場にしゃがんで 体育館を見ていた。 心なしか、青白かった顔は赤みが差していた。 「ちゃん風邪だって!?」 彩子先輩に喋りやがったな楓のやつ 練習が終わるなり、がばっと彩子先輩に抱きしめられた。 結構いつものスキンシップなので驚きはしないけれど 「もー全然気づかなかったわー!流川と帰るんでしょ? ほら、あったかくしないと!」 と、マフラーを貰う。 さすがにちょっと暑いんじゃないかと思ったけど好意だし貰っておこう。 貰ったマフラーをぐるぐると首に巻いていると 後ろから腕を捕まれた。 「わぁ!」 「お先に失礼します」 ぼそっと挨拶をして流川はの手を引いて歩く。 彩子先輩が手を振ってるのが見えた。 「もう楓!手放してよ」 「いやだ」 ずるずると引っ張られるように自転車までやってきた。 強がりを言っても、身体からチカラが抜けていくのがわかる。 「あるいて…かえれる」 「どあほう」 ごつっ、流川の大きな手がの前髪を上げて額をぶつける。 少し音がした。 痛かった。 もっと優しくしろコノヤロ 「熱い」 「…楓近い」 「辛いんだろーが。もう黙れ」 ぎゅと瞑っていた目をそっと開けた。 瞬間、楓と目が合った。 少し間が開いて 短い、キスをした。 学校でキスするなんてありえない。 いつものあたしなら、絶対大声出してる。 「帰るぞ。乗れ」 「はぁい」 ぼーっとする頭を抱えて自転車の後ろにまたがった。 身体を全部預けて、楓につかまった。 結局どんだけ強がっても、いっつもバレてしまう。 悔しいけれど 君には かなわないと思う瞬間。 end 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 幼馴染→付き合ってる設定。 水戸くん出すのが少し楽しかった… |