甘いものは嫌いだけれど


君なら 食べてもいいよ。






cream and kiss






流川は自宅のリビングのソファーに座っていた。
テレビでは夜のお笑い番組が流れていたが
流川は持っていた雑誌に目を通す。

チラリ、横目で見たのは
隣に座っている幼馴染の。


お笑い番組を見て、キャッキャと笑っている。

手には、アイスクリームを持って。



「おい」

「ん?なあに?」

テレビから視線をはずし、は流川のほうを向いた。
とりあえず、今アイスをすくったので
パクリ、口に運んだ。



「おめーそれ何個目だ」

少し引き気味に流川はに尋ねた。

今日は、の両親がどちらも夜が遅いので
流川の家にお邪魔して一緒に夕飯を食べた。
幼馴染の2人にとっては、さほど珍しいコトでもない。
は片付けを手伝い、それを終えてから1時間が経過していた。

その1時間の間、何度キッチンを行き来したかわからない
の手からアイスがなくなる事はなかった。


「だっておばさんがいっぱい食べてねって言うから」

「…だから、何個目だ」

「…んーと…5個?」

「…どあほう」

「なーんーで!大体楓も悪いんだからね?」

「何が」

「いっぱいあるのに、楓がちっとも食べてくれなくて減らないって
 おばさん困ってたよ?」

「知るか」

「もー…そんなこと言わないで一口食べてみなって」


はい、とアイスの乗ったスプーンを差し出された。
普段はアイスなんて絶対食べないけれど
に差し出されては、仕方がないと
流川はそれを口に入れた。



「どう?おいしいでしょ?」

「甘…」

「甘くなきゃアイスじゃないでしょー」

「返す」

「は…?」



両腕で顔を挟まれてそのまま流川の顔が近づいて
の口が塞がれた。


「ん…ぅ…!!!?」


は混乱で流川の力いっぱいTシャツを掴む。
が、流川もを掴んで放さない。


「んーんー!!」


口が塞がれているので、これが精一杯の抗議。
が、流川は角度を変えてはまた口を塞いで楽しんでいた。


「ちょっ…かえで…っ!」


じたばたとするをキスだけでは足らないと
ソファーに押し倒そうとしたその瞬間。





「楓ー?ちゃーん?どっちかお風呂入っちゃいなさーい」






リビングのドアの向こうの方からおばさんの声がした。
すると、さすがの流川もゆっくりとから離れた。


「…!!…!!」


口を手で覆って、涙目になりながら抗議をする。
が、流川は平然とした様子でさらに腹が立った。


「おめーも甘かった」


「ばっ…!!!ばか!!」


「やっぱり食いすぎだどあほう」


「…べ、別にいいじゃない食べたって!」


ぷい、とそっぽを向いて

そしてぴったりとくっついて座っていたのに

少し距離ができていることに気づく。






…にゃろう。







「」

「……何よ」

「明日の朝練、お前も来い」

「なんで」

「あとで太ったって騒がれたらめんどくせぇから動け」

「なっ…騒いだりしないわよっ!!」

「ああ、あと」

「え?なに…」


言いかけて、手招きをされたので
怪訝な顔をしながら、は流川のほうに近寄った。

そして、こしょこしょと耳打ちをした瞬間に

の顔の、色が変わった。


もちろん赤色に。



「こっ…ばかー!!楓のばかー!ばかえで!!!!!」

「おもしろくねぇ」



アイスを食べていてこんなに腹が立ったのは初めてで。
もう流川の前で、アイスなんて食べないと誓っただった。



end
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…オチがオチてない。
最後なにを耳打ちしたのか気になる方はどうぞ聞いてください。
どうせエロいことですよきっと。