怠け者の私が


毎朝6時に起きる理由。






Good morning call







外はまだ薄暗いのに、枕元の携帯のアラームがなる。
もうずっとこの時間に起きているのに
いまだに慣れない。


「…ん〜…」


もぞもぞと布団から身体を起こして
けたたましく鳴っているアラームをとめた。

そしてそのまま、電話をかけて
呼び出し音が何度も繰り返される。

1分鳴らして消し、1分鳴らして消し…

何度やってもつながらない。


(今日もダメか…ていうか、楓を電話で起こすっていうのが
 もう不可能に近いと思うのよねー…)

ガシガシと頭を掻きながら、携帯をベッドへ放り投げて
部屋の窓を開けた。
の部屋の窓を開けると、すぐ目の前にはまた窓がある。

それは隣の幼馴染の部屋の窓だった。
自分の部屋の窓から手を伸ばし、隣の家の窓をガラッと勢いよく開けた。


鍵は無理やり開けたわけではない。
いつも、開いている。

それを知っているのはだけ。



「んー…よいっしょっと」



パジャマにパーカーを羽織って、
人目を気にせず、は窓から窓へ移った。

母からはいつも「危ないからやめろ!」と言われているが
もうこんだけ近いと玄関から入るのが面倒なのだ。


流川の部屋へ降り立ち、椿は流川の方を見た。
りんりんと先ほどから鳴らしていた携帯は枕の下に埋もれていた。

「起きる気あんのかなホントに…」

スヤスヤと眠る流川を見下ろし、小さくため息をついた。
そして、吐いたため息を吸い込んで布団に手をかける。

「こらぁーーー!!!!楓起きろーー!!!」

大声を言い放ったと同時に布団を引っぺがす。
そして身体をゆさゆさと揺すりまくった。

「…む……」

少しだけ目が開いて、
かすれた声で流川は視界に入ったの名を口にした。

「ほら、早く起きないと朝練する時間なくなっちゃうよ」

はベッドに座り込み、は流川を覗き込む。

「…ねみぃ」

そう呟きながら、流川はごそごそと布団をまた被りだした。

「コラコラコラコラ。あんたそんなこと言って起こさなかったら
 怒るくせに!!!もーおきなさいよー何毎日おんなじことさせんのよー」


そう。これが日課なのだ。
朝から疲れることこの上ない。


「うるせー…」


がっ、と腕を捕まれては流川の横へ倒れこみ
そしてそのままギュウ。と抱きしめられた。


「ぎゃあああ?!ちょっ?!はは放して!!」


一応もがいてはいるのだけど。
チカラの差は歴然で。
さらに腕は長いは肩幅はでかいわで
すっぽりと包み込まれていて、もがく意味がない。


「きもちいー…」

「!!!こっ…の…てか何が!!!!?」



このやり取りが今年で四年目。

いったいいつまで続くのか。




(朝 か ら 心 臓 に 悪 い … !)




「ていうか早く起きろーーーーーー!!!!!」




バチーン!










***














今日のは少しやりすぎ。


…私も、楓も。







その日の朝、流川の顔が赤く腫れていて
学校中のうわさになったとかならなかったとか…。







end
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この付き合ってない設定で。いちお高一。