君に届けばそれでいい。



もうそれだけでいい。






ありきたりロマンス






「ふぁ…っ」


ぜんっっぜん眠れなかった。
ずっとドキドキしてた。
楓をいつも起こしてる時間も余裕で起きてて
窓を開けて、楓が起きてるか見てた。

楓はあたしがいつも起こす時間より1時間遅れて起きてた。
…今日は朝練30分くらいしか出来なかったはず。


「うわ、。目の下クマ出来てるよ?」

「あーうん。昨日眠れなかったんだー」

「大丈夫?…あの、噂のせい?」

「噂?…ああ違うよ。あんなの慣れてるし気にならない」

「でもなんかまた違う噂流れてたよ」

「…えー今度は何?」

「なんかもう新しい彼氏がいて、流川くんのコト捨てたとか」

「へー」

「…ホントに気にならないの?」

「だってあたしもうそーいうの色々言われてきたもん」



小学校のときは目立ってるグループの子にそんなようなコトを言われたし
(あのころはまだ可愛かったけどね。嫌がらせ)

中学校のときに初めて上級生に呼び出しというものをされた。
(これはちょっと怖かった。彩子先輩に助けてもらった)

それでも、楓から離れようなんて思ったことなかった。



(と、いうことはやっぱりあたし…)



その日1日。なんの授業を受けたとかお昼ご飯何を食べたとか
本当におぼろげにしか覚えていなかった。

ずっと、ひとつのことを考え続けると人間こんな風になるのかと実感した。



「!帰らないの?」


友達に声をかけられてハッとする。
もう1日が終わっていたらしく放課後になったいた。


「…あれ。もうみんな帰ったの?」

「何言ってんの?もう部活とかも始まってる時間だよ?」

「…マジで」

さすがにしっかりしないと、気持ちを持ち直して席を立った。
と、言ってももうあとは帰るだけなんだけどね。


友達と廊下を歩く。
少し眩暈がするけど、きっと寝不足だからだろうと
目をつぶって頭を振る。
そして階段を下りようとした瞬間に


意識が瞬間途切れて、

見事に一段踏み外した。





「?!!」





友達が手を伸ばしてくれたけど届かなくて

景色が遠のく。

真っ暗になって浮かんできたのは



小さいときのあたしと楓だった。

































小さいときからずっと思ってた。




楓は、あたしのだって。






































あたしは卑怯だ。








































ずっと好きだったのに






































ずっと、知らないフリしてた。









































幼馴染なのをいいことに






































楓は他の子よりも絶対に自分の味方をしてくれるって知ってたから






































だからずっと、幼馴染のままでいた。





































変化が怖くて。





































ずっとそばにいたくて。





































もう。いまさら遅いかな。





































本当は楓のことが誰よりも大好きなんです。





































誰にも渡したくないと、ずっとずっと思ってたんです。





































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あと2話くらい。