早く、早く言わないと。 走り出したらもう止まらない! ありきたりロマンス 「あの!流川くんちょっといいかな?」 が余計なことを言ってから2日目。 今から部活だっていう時に声をかけられた。 …もうコイツで何人目だ… 大体の休み時間は熟睡していて昼休みはフラッと教室から姿を消す そんな流川を呼び止めるのはこの部活に行くタイミングしかないらしく 流川はおとといから部活に遅れっぱなしだった。 「よくねぇ」 すっ、と呼び止めた女を通り過ぎようとした。が。 「あっ…じゃあコレ!!!」 ぐいっ 腕を掴まれて紙袋を掴まされた。 「!?」 「あと!手紙入ってるんで良かったら読んでください!」 そう言って女は走って行ってしまった。 突き当たりのところから「キャー」と大きな声が聞こえた。 どうやら友達数人がそこで待ってたらしい。 流川は壮大なため息をついて渡された紙袋を嫌そうに見つめた。 (イライラする) (全部あいつのせーだ) 昨日は昨日で玄関先で何かを言いかけて走って逃げられた。 もう丸4日ほど口を利いていなかった。 元々人と会話をすることのない流川だが、長い間一緒にいる とこんなに会話をしないことは初めてだった。 「流川、今日ちゃんは?」 部活中、彩子先輩に声をかけたられた。 「…知らねーです」 「珍しいわね?あんたがちゃんのこと知らないなんて言うの」 「…そっすか」 「何?昨日仲直りできなかったの?」 「……」 「もー早く仲直りしなさいよ。変な噂も立ち始めるし」 「…噂?」 「知らない?まぁアンタは知らないかもね」 「…なんスか、噂って」 「色々よ」 「…色々って…」 「あることないこと色々よ」 「色々って…どんな」 「……例えばちゃんがあんたのこと弄んだとか」 「は?」 「ちゃんがあんたと誰かを二股かけてたとか」 「なんで…」 「まぁ、あんたのファンとかが流したんじゃない?」 「は、知ってんスか」 「噂のこと?まぁ、ね。慣れてるって言って笑ってたわよ」 「…………」 「流川、あんたなにかってーと目立つんだからちゃんとフォローしなさいよ」 そういわれて、バシっと肩に一発食らった。 居ても経ってもいられなくなった。 自分のせいでは変な噂を流されて 後ろ指を差されていたのかもしれない。 どうしていいのかわからなかったけど、の傍に行きたかった。 自分の好きな女がそんな風に言われているのを知って じっとしていられるハズがない。 (は、どう思ってんのかしんねーけど) バスケットボールを見つめる。 昔からずっと近くにあったもの、 バスケットボールとバスケの練習を横で見ている。 はぁ、とまたため息をついてボールを持ち直す。 そのとき。 「流川!大変よ!」 体育館に軽く響き渡るほどの声で彩子先輩がこちらに近づいてきた。 「?」 「ちゃんが、階段から落ちて保健室に…って流川?!」 まだ、話の続きだったらしいけど 全部聞いてる暇はない。 ボールを放って、体育館を走って出た。 (はどう思ってんのかしんねーが) 廊下を走って走って、 何人かの教師に「走るな!」と注意を受けたが知ったことじゃない もうだいぶ昔から思ってた オレが好きなのは、だけ。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 → |