無意識で腹が立つ。



意識して欲しいというのはわがままなのか。






ありきたりロマンス






自主練も各々終わり、
モップをかけてゾロゾロと着替えてみんな外で出る。

あたしは部員ではないけど、その辺に転がったボールとかを拾う。
そして彩子さんと喋りながら楓を待った。
いつもは着替え終わったら、こっちに呼びに来てくれるのに。


「ぬ?さん?キツネの野郎もうチャリの方行ってましたよ?」

まさか桜木君に教えてもらうなんてビックリした。
ていうか何置いて行ってんの!?待ってるの知ってたはずなのに!!!

イラッとして、彩子さんと桜木君にバイバイして
カバンを持って自転車置き場へ走る。
楓の姿を見つけて、小走りで近寄った。


「ちょっと楓!!なんで置いていくの!?」

「………」

「あたしが、今日待ってたの知ってたでしょ?」

「別に一緒に帰る約束なんてしてねー」

「…そ、そうだけど…」


「別に毎回一緒に帰らなくてもいーだろ」












「彼女でもねぇし」





























…なにそれ。























たしかに彼女ではありませんが?

約束なんてしていませんが?



にしたって、なにその態度…!!!







「…っ…ばかえで!!」

手が怒りで震えて、それでも収まらなくて
仲直りに買ってたポカリを楓の腹めがけて投げつけた。

「…っ!」

「それ!仲直りのタメに買ったんだから!!飲まないでよ!!」

「…じゃー投げんな」

「うっさい!腹が立ったから武器よ!バカ!」


言い放って、そのまま1人で校門へ向かった。



何。

何あの言い方

ヒドイって言うか意味がわからない。









ていうか自分も何に苛立ってるのかよくわからない。

なんで涙が出てくるのかもわからない。



「…っうー…ッ…」



あーやだ。何泣いてんの
せめて家まで耐えようよ。



でも

だけど



世界で一番信じてた楓に、
あんなこと言われたらダメージ100ってトコかな。
そりゃ道端でも泣けてくるよ。




「…あれ、ちゃん?」



呼び止められて、顔半分タオルで隠して振り向いた。

「洋平くん…」

「あれ?なに?泣いてんの?」

「えっ!いや…ちょっと…」

「大丈夫?」


ポンポン、と頭をなでられた。
いつものなでられる手と違う。
楓の手じゃない。


「どした?」


通りすがりの洋平くんには迷惑極まりなかっただろう。
その場で耐え切れずに私は大泣きしてしまった



撫でられて手が違うだけでこんなに悲しい。












まだ 気持ちに気づかない私が悪い。


もう少し。

あと少し。




まだ 間に合うかな。






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続きます。
てか水戸くんが出てくるのはあたしの趣味です。