ボーダーラインを超える瞬間。



怖いんだけど、もう我慢が出来ない。






ありきたりロマンス






最近回りが騒がしい。



「…いやでもマジびっくりした。絶対付き合ってると思ってた」

放課後。

赤木先輩たちは引退したのに、
三井先輩だけは欠かさずにバスケ部にやってくる。
で、その合間に私に話しかけてきた。

「…そんなに…びっくりするコトですか?」

「いや…幼馴染なのは知ってたけど…なぁ?」

なぁ、って…自分でも驚く。

そもそもの事の始まりは2日前。















「最近、さん流川くんとベタベタしすぎなんじゃない?」

何回か呼び出されたコトがあるので、もう顔も覚えました。
楓の親衛隊の人たち。
きっついコト言われたり暴力とか振るわれたことないけど
たまにチクチクと何かと文句をつけてくる。

ていうかベタベタって…

「…して…ますかね?」

「してるでしょ!?インターハイ終わって
 ちょっとバスケ部落ち着いてるからって!一緒にいすぎなのよ!」

「あなたたち付き合ってるんだから外でベタベタすればいいでしょ!?
 学校でくらい離れてなさいよ!」


無茶苦茶なコトを…
よそのカップルはどこでもかしこでもベタベタしてるんじゃないのか?
…ん?ていうか…


「あの、あたし楓と付き合ってないんですけど」

「「「ええっ!!!?」」」


あの時の3人の声はハンパなかった。
しばらく耳がキーンてなった。
そのあと「そうなの!?」「ほんとなの!?」
みたいな質問攻めにあって「本当です!」って啖呵切って逃げた。







そ し た ら 








「ちょっ、、流川くんと付き合ってないって本当!!!?」

次の日の朝。
教室入ったら囲まれた。

だけど付き合ってないコトは確かなのでとりあえず
そのとおりだと返事をすると瞬く間に噂は校舎中に広がっていた。
何この現象。


廊下通ったり、購買でパン買ったり
人のいるトコロを通るとひそひそと声が聞こえる。
え!?何!?あたしと楓が付き合ってなかったらなんなの!?
普通に幼馴染なだけなのに!!!!!


すると、追い討ちをかけるように

楓の機嫌がハンパないくらい悪くなった。






「なんでそんなコト言った」

「え…や…こんなコトになるなんて思わなくて、ね」

「オレと付き合ってるコトになってんのが嫌なんか」

「へ?!いやそれはまた話がちがう…」

「…もーいい」



この会話から、楓とは話をしていない。
学校ではなんか話づらくなって
家では楓の帰りが遅かったのと
私が家族で外食に出てたりで家にいなくて

話が出来ない時があるのなんて、ざらにあることなのに
心がざわついて落ち着かない。





そして今日。
三井先輩と話しているけど、楓は反対側にいて
朝も昼も話してない。


三井先輩が練習に戻り、わたしはまた楓を目で追う。
今日はあんまりシュートが決まらない。
まだやっぱり怒ってるのかな。


「ちゃん。流川とケンカでもしてんの?」


隣にいた洋平君が話しかけてきた。
この人は何かと鋭くてドキっとする。

「え?なんで?」

「なんか泣きそうな顔して流川のコト見てたから」

「えぇ!?な…そんな顔…」


顔が赤い。熱い。

あたし、そんな顔して楓のこと見てたの?



ぺんっ


肩を優しく叩かれる。

「あんま、考えすぎるとよくねーよ」

「洋平君…」

「なんてね」

じゃあバイトだから、と洋平君は去っていった。
つくづく洋平君は同じ歳とは思えないな。
今度なんか差し入れしとこう。

そんで

今日は楓と一緒に帰ろう。


終わるの待って

ポカリでも買って

ごめんねって

なんか、気まずいのやだから仲直りしよって



上手くいくと思ってたんだ。






だけど気持ちのすれ違い。

ボーダーラインを超える私の試練。




→
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
続きモノ。