あんまりあたしに火をつけると火傷するよ?






fighting girl






移動教室の途中の廊下で、当たり前のように三井が話しかける。

「おー今日練習遅くなるから送る」

「んーわかった」

短く返事をして、手をヒラヒラと振った。




別にあたしは三井のカノジョではないのだけれど…


毎日のようにバスケ部に足を運び
毎日のようにバスケ部が終わるまで

…と、いうか三井が帰るまで残っていたりする。



(いや三井のコトは好きだから別にオイシイんだけどさー…)
(中2くらいの恋する男の子はこんくらいモヤモヤしてんのかなぁ)


いい加減、どうにかしたい。
だけど動くに動けない。


(あのなんも考えてなさそうな笑顔見てると気が抜けるんだよね…)


移動してきた理科室。
みんなはわいわいと実験をしている中で
は1人ぼーっと考え込む。


(試験管なんかで遊んでいるよりも、早く三井に会いたい)


「たそがれてんなコラァ!!!」

「いたぁあ!!」

がっつんノートで頭を叩かれた。カドだよカド。
マンガみたいにぼーっとしてたらとっとと放課後になると思ったけど
やっぱりそうはいかないようで。


「はい、これ持って火つける!」

「はぁーい」


しかもやる気なくやってたらさっきバカにした試験管割って指切った。
…おのれ試験管。
























「帰んぞー」

掃除も終わり、三井がこっちを見て手招き。
私はというとずっと「待て」と言われていた犬のごとく三井の方へ行く。

短く部員に挨拶をして、2人でバカな話をして校門を出る。
ここぞとばかりにバシバシ叩いてみたり頬つまんでみたり…

1日でこの瞬間が1番幸せ…!!!



「・・・おい、聞いてたか?」

「へ!?あ、ごめん聞いてなかった」

「聞いとけよ。コンビニ行かねぇ?」

「ああ、うん。いいよ」


アホなコト考えすぎて真横にいる人の声も聞こえなかったよ
ちょっと自分が気持ち悪くなってきたな…

三井の後ろからコンビニへ入る。
三井はそのまま雑誌のコーナーへ行った。


「…なんか欲しいのあったの?」

「…いやなんかコンビニ来たらまず雑誌立ち読みしねぇ?」

「なんかわかる気がする」


と、2人でもくもくと雑誌を読み出す。
三井はエロイ女が表紙の雑誌見てたから覗き見したらただのマンガだった。
なんでマンガの表紙がエロい女なんだ青年誌!!

私はというと、ファッション誌もマンガも読み終わり
何気に目についたアイドルの載った雑誌をパラパラとめくった。


「ねぇ三井三井」

「あぁ?」

「この中でどれがタイプ?」

グラビアアイドル勢ぞろい!というページをがばっと広げる。
ナイスバディの水着ギャルがずらっと並んでいた。

(とりあえず好み把握しといて、そっち路線に私も…いけたらいこう)

そんな下心を隠しつつ、ずずいと三井にページを近づける。

「ね、どれ?」

「…どれって…全部同じに見えんだけど」

「何をおっさんみたいなことを…いるでしょータイプなのが」

「…タイプ…」

「そう!どんなんが好きなの?!」

「こん中にはいねぇ」

「ええーいないの!?何三井面食い!?」

「ちげぇーよ」

「じゃとりあえずどーいう子が好きなの?」


なんか必死すぎるなあたし
だけど知りたいんだもん三井の好きなタイプ!!!!

「どーいう子ってなぁ…」

「うんうん」





「みてぇなのがタイプ」




「かな」





あっはっはーと盛大に笑いながら雑誌を元のトコロに戻し
三井はドリンクコーナーへ歩いていった。


私は、というと。



「…いまのはどうかいしゃくしたらいいのでしょうかみついさん」


三井相手に敬語になってしまうくらいパニック。
しかも三井あっち行っちゃったから完全に聞いてないし。
しかも地面に足がひっついて動かないし。


「何突っ立ってんだ?帰んぞ」

「え、だって足…」

「は?足?いてぇのか?」

「そうじゃなくて…!」

「オメーの好きなクリームチーズプリン買ったから」

「えっおごり!?」

「行くぞ」


ぱっ、と取られた手。

そのまま繋いで外へ出た。


手が熱い。
心臓の音がヤバイ。

ていうか私がヤバイ。






もう限界
















向かう先は近くの公園。

買ってもらったクリームチーズブリン食べたら




覚悟しとけ三井。











end
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女の子押せ押せなカンジで。
なんかアホなコト書くの楽しい。