お前の周りにいる男はみんな敵なんだよ。 ぼくの好きな人 「なぁ、お前どんな奴が好きなの?」 「はぁ?」 自分でも結構いきなりアホなこと聞いてるなと思った。 でも、ずっとずっとずっと気になっていて 考えるよりも先に口に出してしまったんだから仕方ない。 「や、だからどーいう男が好きなのかってきーてんだよ」 「…何。三井がそんなこといきなり聞いてくるなんて変」 は、じっと疑わしげにこちらを睨んでくる。 ちょっとたじろいながらも、ここで引くわけにもいかず なんとか吐かせようと三井も必死だった。 「何が変なんだよ。聞いただけじゃねぇか」 「今の流れは変でしょうよ」 「うるせぇな。とにかく言え」 「…何その命令口調。ムカツク」 話は平行線を辿ったまま一向に進まない。 三井は若干苛立ちさえ覚える。 「…お前もしかして、彼氏いんのか?」 一向に吐かないを見て三井がポソリと呟く。 みゆうはというは「はぁ?」と声すら出なかったものの 表情がそれを物語っていた。 「…いないわよ。いたら三井なんかと喋ってませんー」 「っとかわいくね」 「なんか言った?」 「………じゃあ好きな奴は?」 の返しを交わしつつ、三井は次の質問をした。 先ほどから何を聞いてもイマイチ反応がつかめなかっただが この質問だけは、違った。 「……………」 「(だ、黙った…)…おい?」 「何」 「や、だから・好きな奴いんの?」 「…いるけど」 「ま・マジで!!!」 ガタガタガタッ イスを持って、の方へ三井が近づく はぎょっとした顔でそっぽを向く。 「ちょ、ちょだ・誰だよ」 「なっ…なんで三井に言わなきゃいけないの」 「いいから教えろって」 ギャーギャーと言い合う三井と。 先ほどから中々口を割らないみゆうに三井は若干苛立ちを覚えた。 「強情だなお前も」 「三井こそ、しつこいよ」 「どーせお前が惚れてる男なんて変な奴なんじゃねーの?」 「はぁ!?」 「お前もぼーっとしてっから変な男にひっかかんねぇか心配で」 「………」 「オレがどんな男か見極めてやっから、教えろって」 苦し紛れの言い訳。 本当はの好きな人が誰なのか気になって気になって気になって仕方ない。 「…元ヤンキーで」 急に、が口を開いた。 口調に少し怒りが篭ったように聞こえるのは気のせいだろうか。 「元ロンゲで」 「歯が差し歯で」 淡々とみゆうから発せられる「の好きな人」 どこかで見たことがあるような人物が三井の脳裏に浮かぶ。 「今は、バスケ部」 決定打。 「あんたよ!バーーーカ!!!!!」 言ったと同時にが席を立ち廊下へ走り去った。 一人残された三井はポカンとしたままその場に固まる。 オレ…? 「…三井くん今のはかわいそうだよ?」 後ろから、の友達に声をかけられた。 どうやら話が聞こえていたようだ。 というか、クラス中に駄々漏れでみんながこちらを見ていた。 「は…っ…!…え?」 「今度ちゃんと告白するんだって言ってたのに、あんな聞き方して」 「……マジかよ」 心臓が今までにないくらいにバクバクいってるのがわかる。 が好きなのは、オレ? 「ぼーっとしてないでとりあえず追っかけて来い!!!!」 ばしっ!と後ろから一撃喰らう。 飛び上がって、を追っかけた。 追っかけて、追っかけて、追っかけて。 は、目の前。 捕まえたら チカラいっぱい抱きしめて、言ってやる。 (オレが好きなのもだ。バカ) end 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 みつい?三井になってる? アフターストーリーもあったんですが、長くなったのでやめました… |