本当の幸せは案外傍にあって


ずっと 気づかずにいたのですが。





求めたその指先は君





風がめっちゃ強い。
セットもなんもあったもんじゃない


「、ええ加減戻るぞ」


「ええよ、先戻っといて」


10分置きくらいに交わされる会話。
嫌なら帰ればいいのに、振られてたそがれている私に
南はもう30分以上も付き合っている。


「ええ加減立ち直ったらどうや」

「…そんな簡単に立ち直れたら苦労せんわー」

「そないに好きやったんか?」

「そりゃー…」

「全然幸せそうには見えへんかったけど」


そんな風に思われても仕方がない。

私を振ったあの人は


待ち合わせをすれば3回に1回はドタキャン
(そのたびに南のトコ行って愚痴言ってたな)

2人で遊んでても、大体友達と合流してカラオケとか
(そんでなんか気まずいから南も呼んだんだっけ)

メールの返事は5回に1回
(そんでヘコんでると南が笑かすメールくれたな)


「…ホンマに。ちっとも幸せやなかったなぁ…」

それでもこんなに悲しいのは、色々がんばったけど
好きになってもらえなかった悲しい自分とか
ほんの少しだけど、優しくしてもらった思い出もあるから。



「…みなみ…」

「なんや」

「あたし、ダメな女なんかなぁ…」

「なんでそうなんねん」

「…だって」

「あほ」

「! あほって!」

「泣くなやブッサイクになんで」

「うっ…うるさ…ッ…」



やっぱり泣いてしまった。

別にブサイクとか言われて泣いたんじゃなくて

南がまた 私を慰めてくれるから。



「ほんま、手のかかるヤツやな」



南の腕が、私を包んで

そのまま引き寄せられた。


「み…!」


「ほれ、さっさと泣きやまんかい」


ポンポン、とあやすように背中をなでられた。

あたしは子供か。

涙が止まって、ふつふつと湧き上がる笑い。

しぼんでたあたしの心はいつの間にか。



「…何笑ってんねん」

「え?だって…」

「心揺れ動いたりせんのかい」

「は?揺れ動く?」

「…っの…鈍」






***





フェンスを背にして、2人ならんで座る。

まだ離れたくなかったのに、南が離れろというので
(自分から来たくせに!)

手を繋いだ。




「やっぱ失恋を癒すんは次の恋やんな?」

「せやなぁ…」

「よし、ほなまずイケメンでも探すか!」

「…………こない近くにいるやん」

「…は?」

「…ぜっったい次はオレなんもせーへんからな!」

「えぇー!?ひどっ!南冷たい!」






(そないなコトまずこの手離してから言わんかい)






「でも南は優しいからきっと次のときも相談乗ってくれんねんもんなー」

繋いだ手をジタバタと動かしてニッコリと微笑みを南に向ける。

「…コイツは…」





(こうなったら長期戦や。絶対好きにならす)




繋いだ指から伝われば

こんな苦労もしないのに。












「あ、南!昼休みの予鈴鳴った!パン買うて来て!」

「お前いい加減しばくぞ」










end
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ニブヒロインが好き。