夏だ!遊べ! 少年少女たち!






恋する7days 02-2






12時を回った頃岩田くんが本当にやってきた。


「おー遅いやないけ岩田!ちょ来てみ!おもろいモン見れるで!」

「はぁ?なんやねんなイキナリ集合場所変えよったり…」

「何がおもろいモンやコラ。すまんな。とりあえずウチでやろか」

「オレは別にかまへんけど…」

玄関先で何やら会話をしつつ、3人はぞろぞろと上がってきた。
はというと、出るタイミングを失いリビングの入り口でウロウロとしていた。


(…お茶とかさ、出したほうがいいの?これ。え?でしゃばり?)


そんなコトを考えていると
階段の上から叫び声が聞こえた。

「ー!ダンナの客来てんねんぞ!茶ぁもってこんかい!」

「うっさいわ岸本!お前本間どつくぞ!」

「え!何?南の彼女来てんの?てか南彼女いてたの?」

「せやから言うたやろ!おもろいモン見れるて!」



…本間いっぺん実理ちゃんの息の根止めたいわ…
めっっちゃ行きづらい…どうしよ!


リビングで頭をかかえていると、後ろでドアの開く音がした。


「…どないしたん。頭でも痛いんか?」

「へ?あれ烈どないしたん?」

「すまんな。気まずかったやろ?今岸本黙らしてきたから」

「あははは!黙らせたって何したん?今やったらお茶持ってっても平気?」

「ええよ、気ぃつかわんでも。も自分の勉強あるやろ?」

「あたし?あたし後で図書館行くし。飲み物何がいい?コーヒーとか?」

「別にあいつらにそんな気ぃ使わんでもええんやで?」

「まぁまぁ。あ、アイスコーヒーにしよ!」


グラスにアイスコーヒーを注いでミルクとガムシロップを添えてお盆に乗せる。
カラカラと氷がガラスとぶつかる音がする。
その音は危なかしいという印象を与えてしまうようで

「貸して」

前を歩いていた南は振り向いて、お盆をひょいと取り上げた。

「あ、ちょ!烈がそれ持ったら意味ないやん!」

「お前危なかしいねん!倒したらオレに全部かかるんやで?」

「平気やって!かーえーしーてー!」

手をバタバタと動かしてお盆を取り返そうとするが
元々相当な身長差がありさらに階段の段差。
到底取り返せるわけもなく。

「届くわけないやろ?」

「うわムカつく!見下ろさんといて!」

「しかしちっさいなぁは」

「ちょ!階段の段差とかもあるやろ!?そんなちっさくないわ!」

ポンポンと頭を撫でられる。
恥ずかしいやら、バカにされた気分やらでカーっと血が上っていくのがわかった。


「…コラ、いい加減いちゃついとらんでソレ持ってこんかい」


ドアから顔だけ出した実理ちゃんが、厳つい顔してこっちを睨んでいた。

























「どうぞ」

にこり。岩田くんには笑顔を向けてアイスコーヒーを前に置いた。
実理ちゃんにはガンくれてやったけどな!


「コラ、態度ちゃうやんけ」

「散々人のこと茶化しといて何言うてんの」

「つうかお前進んでないやないか」


南が岸本のノートを覗き込む。
2人のノートには数学の問題が2・3問解かれているのに
岸本のノートは計算途中の問題がひとつ書かれているだけだった。


「せやかてやる気が起きんわー…つうか、お前なんでここおんねん?」

「…へ?」

「せや、付きおうてんの?」

「ちょ!岩田くんまで何言うてんの!?」

ジリジリと質問攻めに合い、たじたじになる。

「お互い家が留守やから、がオレの面倒見てくれてんのや」

見かねた南が間に割って入ってきた。

「…はぁ?どゆ意味や?」

「幼馴染のよしみで面倒見てもろてんの。そんだけや」

「俺かて幼馴染やんか!?俺の面倒も見てくれよ」

「実理ちゃんウザいもんー」

「ウザいってお前!!」

「謎も解けたし、ほら、勉強せんなら追い出すで」

「…は!俺めっちゃイイコト考えてんケド!」


今から勉強再開させようというときに
またしてもこのロン毛は水をさす。

目をキラキラさせながら。


「…っはー…お前本間やる気ないねんな」

「まぁ聞けて」

「なんやねん」

「明日!海行かへん!?」



「「「は…?」」」










夏の思い出作りませんか?
真顔で言ったアイツを誰かぶん殴ってみてください。












反面。
心が躍った火曜日の午後。



(あ、オレ明日模試あるからパス)(!! 岩田裏切り者!)
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