明日からも、どうぞよろしく。 恋する7days Lastday 「何味がええ?」 「え、えっとグレープ!…じゃなくて!!」 「グレープ?舌、紫になんねんで?」 「ええやんか!って!烈!!」 岩田くんと実理ちゃんと別れて、烈とかき氷の出店に並ぶ。 烈はズラリと並ぶ種類を真剣に眺めていた。 「…オレは何にしよかな…練乳イチゴか…」 「アホ!!あたしの話を聞け!」 「なんやねん」 「一体どーいうことが説明してよ!」 「…説明?」 「あの女の子!!烈の彼女ちゃうの!?」 「はぁ?何言うてんねん」 「はぁ?はこっちのセリフや!!」 噛み付くをそっちのけで 出店の順番が回ってきて烈はそちらを向いてしまった。 グレープと練乳イチゴを注文して受け取る。 渡されるときに 「お嬢ちゃんがイチゴやろ?」とまんまと間違われた。 「…っくく…」 「おい、いつまで笑うてんねん」 「だっ…て…!おっちゃんがあたしに イチゴ差し出してきた時の烈の顔!」 「なんやねん」 「オレの練乳イチゴ!!!みたいな顔してたで?」 「うっさいわ!」 烈は自分のイチゴをザクザクとストローでつぶす。 はひと掬いして口に運んだ。 「あーサッパリしてて美味しいー」 「イチゴのが絶対美味いわ」 「練乳飽きるねん」 「はぁ?一口よこせ」 「ええよ?はい」 持っていた自分のかき氷を烈の方へ差し出す。 烈はストローでそれをザックリと掬い口へ運んだ。 「…ん、グレープもイケるな」 「せやろ?」 「…あ、ストップ」 「へ?」 とん、と肩を掴まれた。 烈を1回見て、烈の見ている方を見た。 そこには実理ちゃんとあの女の子。 …すっかり忘れてた! 「そや!忘れてた!あの子結局なんなん!?」 「はぁ?アレ見てまだわからんか?」 「アレって…」 女の子は楽しそうに実理ちゃんと歩いてる。 実理ちゃんはなんかびびってるけど… 「…あの子もしかして…」 「もしかせんでも、あいつは岸本狙いや」 「えええーーー!!!?実理ちゃん狙い!?あの子が!?」 「なんでそんなに驚くんや」 「だってあんなかわいい子が実理ちゃんを!?」 「何気に失礼やぞお前」 「だって…!ええー…」 「いきなりオレのとこ来て、 岸本先輩の仲取り持ってください!とか言われて」 「中々大胆な子やな」 「持ってた写真とか全部取られてん」 「…そんなに実理ちゃんがええんや…不思議や」 謎が解けて、心が一気に晴れ晴れしくなる。 (まぁ、ちょっと忘れてたりもしたけど) 「烈!タコ食べたいタコ!」 「タコ焼き言えや!タコでわかるかい」 烈とこうやって、喋ったり隣で歩いたりするのは最後かもしれない。 でも、そんなの忘れるくらい、すごく楽しかった。 「花火何時からやろ?どこで見る?」 屋台を一通り回り終えて、そろそろ花火が始まる時間。 みんながその場から動かなくなって、チラチラと空を見る。 「…もう、帰ったほうがええんちゃう?」 「は!?何言うてんの?花火見ぃひんの?」 「…ちょおこっち来い」 「え?…ちょ、烈!え、花火みたい!」 ぐい、と手を引かれて賑わっている通りから遠ざかる。 少し歩いたところの公園に入りベンチに座らされた。 「なんやねん烈!まだあたし帰りたくないし…っ」 帰ったら、現実に引き戻されてしまう。 明日を迎える準備を 明日家に帰る準備を 始めなければならない。 まだ、もう少し、もう少し… 「その足で、これ以上あそこにおるつもりやったんか?」 「え…?」 烈はその場に座り込み、の履いていた下駄を脱がした。 慣れない下駄はの足を痛めつけていて 指の間には靴擦れが出来ていた。 「…こんなの平気やもん」 「平気なワケあるかい。血ぃ出てるやんけ」 烈は持っていたハンカチを濡らして、の足の傷口を撫でる。 ピリピリと痛みが走る。 「ぃた…!」 「我慢しぃや」 両方の足に出来た傷口をキレイに拭いて 烈は、財布から絆創膏を取り出した。 「…え、何?それ持ち歩いてんの?」 「……まぁ、な」 「ええー!すごー!さすが…」 ふっ、と過ぎる場面。 「さすがお薬屋さんやな!」 (あれ…なんやろ…昔もこんな…) 「さすが、お薬屋さんやろ」 少し笑って、烈がキレイに足に絆創膏を貼ってくれた。 そしての座っていたベンチの隣に腰掛ける。 「…これ…言うたの、あたしやった…?」 「やっぱり忘れとったか」 ひとつ思い出すと、その場面がありありと思い出される。 小さいときの自分と烈。 転んで、膝擦りむいて泣いていたら烈がすぐに来てくれて 慰めてくれて、絆創膏をくれた。 その時の話をしてくれた時の烈の言葉を思い出す。 「…烈は…その子が好きだった、ん…やな?」 恐る恐る、聞いてみる。 その、好きな子だったのは自分だったのか 烈が自分のことを好きなのか。 心臓は早鐘のごとく鳴り響いて苦しい。 だけど 聞きたい。 もしかしたら 終わってしまっている、恋かもしれないけれど 「今も、好きやけど」 瞬間、黒い夜空が轟音と共にキラキラと光る。 花火が上がった。 でも、聞こえた。 「おー…こっからでも結構見えんねんな」 好きって言った。 今 も、 「烈!」 言わなきゃ あたしも あたしも 「烈!…っあたしも…っ…!」 言おうとした瞬間に一面がぱっと明るくなって 1番大きな音が鳴り響く。 あたしの一世一代の告白は この夜1番の大花火に掻き消されてしまった。 けれど。 同時に、引き寄せられて口を塞がれた。 しん、と静まり返る。 震える手で、自分の口元に触れた。 「…つ…よし…今…?」 「大丈夫や。ちゃんと聞こえたから」 「あたしも好きや!」 カラコロと音を立ててゆっくりと歩く。 しっかりと手を繋いで。 「明日、親たち何時に帰ってくるんやろ?」 「…あと1日くらい帰ってこんでもええなぁ」 「遊びに…行ってもええ?」 「当たり前やろ」 このあと 後ろから実理ちゃんが真ん中を割って雰囲気をぶち壊すんやけど それはまた別のお話。 恋が叶った7日目の夜。 (おい!なんでと南が手ぇ繋いでんねん!?) (はオレのやからもうちょっかい出すなよ)(は!?いつの間に!?) 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 長かった…! 読んでくださってありがとうございました! |