昨日の夜、



知らないうちに流れ星が流れていたのかもしれない。






恋する7days 07






「…よっし」


髪をアップにして、かんざしを挿した。
無駄な抵抗かもしれないけど、少しでも可愛くしていこうと思った。


「ー準備できたんか?」

「あ、できたー!」


部屋のドアを開けて階段を下りる。
烈は大分前から準備は終わっていて、リビングにいた。
少しだけ、リビングに入るのをためらう。


(…なんか、慣れない格好で緊張してきた…)


ドアの前で深呼吸をするといきなりドアが開いた。

「うわ!?」

「何してんねん。はよ入ってこんかい」

「う、うっさいわ!」

「………」


烈がじっ、とこっちを見る。
そして無言。
心臓はバクバクと無駄に動く。


「…なんやねん!」

「やっぱり似合うなソレ」

「…っ…!」


心臓が破裂する…!
顔が熱くなるのがわかる。
トイレに行くと言ってとりあえずその場から逃げた。


舞い上がるな。
平常心。
あたしは今日は実理ちゃんと寂しく屋台を回るんや!!


そう言い聞かせて、気持ちを落ち着かせる。
もう少し、トイレに閉じこもって居たかったが
待ち合わせの時間がもう迫っていて
仕方なく、烈と家を出た。



カラカラと下駄の音が鳴る。
履き慣れなくて、いつもより歩くのが遅いはずなのに
烈は普通にあたしの歩く速度に合わせてくれた。

チラ、と烈を見る。
黒い浴衣に明るい灰色の帯を巻いていた。
いつもと違うその姿に思わずドキドキしてしまう。


(さっきからドキドキしすぎやあたし…)


「烈、浴衣似合うな」

「これ?これ親父のやねん」

「ええ!?おじさんの!?」

「当たり前やろ。浴衣なんか普通持ってへんし」

「でもカッコええよ」

「お世辞言うても何も出てけーへんで」

笑いながら、ぺち、とデコを軽く叩かれた。
お世辞じゃないんやけどなぁ。






「あ、来た来た!南せんぱーい!」

待ち合わせの場所近くに来たところで女の子の声がした。
あの、女の子。

そして実理ちゃんと岩田君たち。
どうやら私たちは最後だったらしい。


「遅いっちゅーねん」

実理ちゃんがグチグチと文句を言う。
言い返してやろうかと思ったけれど
今日の私の相手役やねんから、仲良くせんとな。


「ほんなら、行こか?」


岩田君が祭りのほうを指差す。
いつもは車道のその場所はずらりと出店が並んでいた。


「かき氷!実理ちゃんかき氷食べよ!!」

「ええな!オレチョコバナナ!」

「はぁ!?何それ!そんなんあるん!?」

烈が、彼女を誘うのを聞きたくなくて
先に実理ちゃんを誘ってその場を離れたかった。

が、

「ちょお待て」

ぐい、と手を引かれた。

「ちょ!烈?」

「お前はオレとや」

「へ!?」


「ちょ、南!なんやねん!はオレと!」

「ダメです。岸本先輩はあたしと回ってください」

「「は!!!?」」


ハモったのはあたしと実理ちゃん。

岩田くんと烈はニヤって笑って顔を見合してた。


「ほな、がんばりや」

「ありがとうございます!」


烈が女の子に手を振った。
そしてあたしに向き直る。



「で、なんやったっけ?かき氷?」




見上げたそこには、笑った顔の烈がおった。
















神様。ちょっと状況が掴めないのですが


あたしが昨日の夜、散々願ったお願いを聞いてくれたんですか?





烈と、お祭り回りたいです。って




聞こえたんですか?















ドキドキで眩暈がした日曜日の夜。









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