そろそろ、天気も傾くころかと。






降っても晴れても






「っあー、しんどかった」

休み時間、岸本は当り前のように後ろを向いて
人の机に腕を伸ばしてダラダラしだす。
あたしは黒板まだ写してる途中なんやけど・・・

「・・・ちょ、岸本、腕」

「あん?お前まだ写し終わってへんのか」

「・・・しゃあないやろ」

「南とメールとかでイチャついてたんちゃうんかい」

「アホ」


最後のアホは、あたしやない
横を見ると南がそこに立っていて
岸本は南からチョップを喰らってた。ザマミロ。


「なんやねん南」

「お前がアホなこと言うからやろ」

「南、どなしいたん?」


もしかして、あたしに用事があって来てくれたんかな?
と淡い期待を込めながら南に話しかけてみた。

が、

「あぁ、岸本」

あたしの期待は打ち砕かれて、南は岸本の方を向く。
岸本も呼ばれて、南の方を向いた。


(うん、知っとった。あたしやなくて岸本のトコに来たのなんて知ってたし!)


軽く拗ねて、やりかけのノートに目を落とす。
が、聞こえてくる2人の会話に耳は釘づけだったけど。


「なんや?」

「今日、買い出し行くやろ」

「あーマネージャーどないしたん」

「マネージャーは別の雑用押しつけた」

「ほな、買い出しくらい行くか」

「てか、南は主将なのに買い出し行くんや?」

「まぁ、他の面倒くさい雑用はマネージャーがやってるからな」

「へぇー」

「あ、」

「え、あ、何!?」

「お前、今日ヒマか?」

「今日?なんもないけど」

「ほんなら一緒に買い出し行かへんか?」

「ええの!?」

「何喜んでんねん。雑用に付き合うだけやで?」

「全然!付き合う!!」

「ほな、決まりな」


ポン、と南があたしの肩を叩く。
見上げたら南の微笑んだ顔に眩暈がしたのは、内緒。

バスケ部の雑用だろうが

岸本が一緒だろうが

それでもとにかく

放課後南と一緒に出かけられる!!!

それだけであたしのテンションはマックス。

日中ウキウキしながら放課後を待った。




















































「ー帰らへんの?」

「あ、みっちゃんごめん今日ちょっと・・・」

「何?え、デート!!?りぃちゃーん!が!!」

「ち、ちが・・・違うって!」

「そんな色気があるもんちゃうねんなぁ」


後ろから声がして、振り向いたらやっぱりというか岸本がおった。
ていうか色気ってなんや色気って。


「え、なんで岸本が出てくんねん」

「や、せやからデートやなくてな」

「南と俺とで、買い出し行くねん」

「・・・あんた邪魔やの気付かへんの?」

「いや、せかやてバスケ部の買い出しやし・・・」

「はぁ・・・?何それ、そんなんについて行くん?」

「うん、ええねん。なんやそれでも嬉しくて・・・」

「・・・!」


みっちゃんが思わずあたしを抱きしめる。
最近これ多いな!!
そしてそれをりぃちゃんが止めてくれた。


「が、楽しみにしてるんやったら行ってきたらええよ」

「うん、ありがと。りぃちゃん」

「、南が呼んでる」

「あ、うん。ほな行ってくるな」

「おーいってらっしゃーい」


みっちゃんとりぃちゃんに手を振って
岸本と南のもとへ行った。


「、よかったんか?」

「え、あ、みっちゃんたち?うん大丈夫ー」

「よし、行くか」

「荷物は全部岸本が持つから」

「・・・なんでやねん」


























***


























学校を出て、むかった所はスポーツ用品店。
2人は慣れた感じで店の人に挨拶をして、
岸本がかごを持って
、そのかごに南がポンポンと物を入れていく。


「これ、誰が買うん?」

「部費や」

「あぁ、そっか」


マジマジとかごの中身をみる。
高校入ってからは部活とは無縁やったから
部費とかそーいうのが新鮮に感じる。


「すまんな、つまらんやろ」

「え?そんなことないよ?」

「そおか、つか帰りどっか寄るか」

「え、ホンマ!?行く!」

返事をすると、南はまた笑ってこっちを向いてた。
せやからあかんてその笑顔。
目の前がくらくらして、しばらく夢心地。



(どこでお茶しよ?前行けへんかったドーナツ屋?)

(あ、でも駅前の新しいカフェも行きたいんやった)

(あれ、これ2人?いや、岸本も行くよな?)




なんて色々考えていたら

「あ・・・」

岸本が何か気付いたような声を出した。
思わずあたしと南もそちらを向く。

視線の先には女の子と男の子がいて

向こうもこっちを見て少し驚いとった。

そして

また見上げた南の顔からさっきの笑顔はもう消えてて

目の前にいる、その女の子と同じような顔をしてた。


「南・・・」


女の子が、発したのは南の名前。
岸本がそっとあたしの方を向いたのがわかった。

あたしはそんなに勘のいい方やないけど


これはさすがに気づく。



この子、南の・・・

















































(大丈夫かなぁ?)(・・・なんかあの子やたら運が悪いのよね)
(なぁ、なんかに巻き込まれてたりして!)(なんかあり得そうで嫌やわ)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

→