恋の駆け引きとやらには、対応していません。






降っても 晴れても






心臓がばくばく鳴っているのがわかる。
最近は南っていう名前とか漢字とか見ただけで反応してしまうのに
南からメールが着てるっていう今の状況は正直やばい。
いざ、決意してメールを開こうとしたその時

「うぅわ!!!?」

手の中で携帯が震える。

なんやのこのタイミング!

ていうか・・・


「、電話?」

「う、ん・・・」

「なんや、タイミング悪いやっちゃな。誰や?」

岸本が悪態をつく。
りぃちゃんとみっちゃんは、電話先に出たら?と促す。

が、

「・・・あ・・・の、電話・・・南からなんやけど・・・」

「は!?そうなん!?え、なんで出ぇへんの?!」

「だ、だって心の準備が!!」

「アホか!切れてまうやろ!」

そう言って岸本が、あたしの手が携帯を奪った。
そして通話ボタンを勝手に押して
あたしに携帯を返してきた。

「ちょ、あんた勝手に!!」






『もしもし?』

持っていた携帯から南の声がする
あたしは反射的に携帯を耳に当てて返事をした。

「も、もしもし!」

『・・・?』

「う、ん」

『さっき、メール送ったんやけど、見たか?」

「あ、・・・ごめんまだ見てへん」

『まぁ返事けぇへんかったから電話したんやけど』

「そ、そうなん?ごめんな。なんか急な用事やった?」

『・・・おう。急用や、めっちゃ急用』

「え、ほんまに!?ど、どこ行ったらええの?」

『・・・公園』

「公園?」

『あの、公園や』


それだけで、説明は十分。


「わかった!」

そう返事をして、電話を切った。
ぎゅ、と携帯を握りしめて口を開こうとした時

「、ほら、かばん!」

みっちゃんが、あたしのかばんを差し出した。
あたしはそれを受け取る。

「早く行って、カフェはまた今度行こうな」

りぃちゃんが笑って手を振ってくれた。

「今度こそ上手くいったらええな」

りぃちゃんのその横で岸本も同じく手を振っていた。

3人に見送られて、あたしも手を振って教室を出た。


なんの話かはわからないけど

何を話すかはわからないけど

でも

だけど





南と、話せる。















(それだけで、こんだけテンションあがるってあたし単純やな・・・)























***



























「はぁ・・・」

走って、学校出て公園に着いた所で一息。

ゆっくり公園の中に入って、周りを見渡し南を探した。


「!」


少し遠くから声が聞こえて、そっちを向くと南がいた。
南の姿や名前を聞いただけで、ドキドキしていたから
いざ、本人を目の前にするとどうなるのかちょっと心配やったけど
案外平気な気がする。

(なんだかんだで嬉しいんやろうなぁ・・・)

そんなことを思っていると、
南がすぐ近くまで来ていた。

「ぅわ」

「・・・なんやねん」

「や、ごめん。ちょっとびっくりしただけ」

「なんやそれ・・・向こう、ベンチあるから」

「あ、うん」

歩きだす南の後ろをあたしも付いて行く。
そして見えてきたベンチは、ものすごく見覚えのあるベンチだった。


(まだ、告白して3日くらいしか経ってないんやなぁ・・・)


色々ありすぎて、もう1か月くらい経った気がする。
・・・そんなわけないんやけど。


「」

「・・・あ、うん。南どうしたん?」

「・・・・・・・・・」

「・・・え、何?」


口を開いたあたしを、南がきょとんとした顔でこちらを見た。
あたしはその南の行動がわからなくて、首をひねる。
すると今度は、南が小さく、少しずつ笑いだした。


「ちょ、南。何笑うてんねん」

「は、や・・・普通に話しかけてきたから」

「え?」

「俺とは、口利かへんて言うてたやろ?」

「・・・あ・・・」


すっっかり忘れてた。
決別宣言して、話すの止めるって
しかも昨日言ったのにほんとすっかり忘れてた・・・


「でも今日先に話しかけてきたの南やんか!」

「俺は別に口利かへんなんて言うてないやろ」

「・・・そーだけど・・・」

「せやけど、」

「?」

「こんな笑いながらお前と話したんは久しぶりな気がするわ」

「・・・せやね・・」


たしかに。
告白した次の日はすぐに席替えで離れちゃったし
話しかけられても、大した返事ができてなかった気がする・・・。

それでも、話しかけてくれるたびに
あたしはすごくすごく舞い上がってた気がする。

やっぱり、どーやってもあたしは



「・・・南が好きやねんなぁ・・・」

「・・・は?」

「・・・・・・・・・え、あたし今なんか言うた?」

「ボケてんのかお前」

「うわ、え、声に出した!?恥ずかしっ」


ちょっとどーなん今の!?
恥ずかしい上に、ちょっと気持ち悪いやんか!!
しかも諦めるとか口利かないとか散々言っといて!

いい加減呆れられる頃やな・・・


「・・・おい」

「は、はいっ」

「・・・なんでお前先に言うねん」

「・・・はい?」


え、あたし、何言うた?

考えていると、ちょっと遠くから声がした。
また、うちの生徒に見られたら面倒くさいんやけど・・・
しゃがんで隠れてみるか・・・?


「おい」

「・・・何も突っ込まんといて」

「無理やろ」

「見ない振りしといて」

「無理やって。なんでお前いきなり隠れてんねん」

「・・・突っ込むな言うたのに」

「話しの途中でいきなりしゃがんで隠れられたら突っ込むわ」

「だって・・・今、声したやろ?」

「・・・人が通っただけやろ?」

「それがウチの生徒とかやったら、またいらん噂たつやんか」

「・・・、お前そんなこと気にしとったんか」

「気にするわ!南に迷惑かけるのも悪いし」


すると、南は黙って少しあたしの近くまで来て
あたしの腕をつかんだと思ったら、
そのまま引っ張られて立ち上がってしまった。

「・・・?」

「隠れんでええ」

「・・・え?」

「噂も気にせんでいい」

「??」

「今度噂がなんか流れたら、俺がなんとかする」

「・・・みなみ?」

「なんや」

「・・・どないしたん?」

「なにがや」

「・・・言うてることがいまいち掴めへん」

「・・・ボケ」

「はぁ!?」


ケンカを売られてるんやろか。
南の言葉がいまいち掴みきれなくてモヤモヤする。


「おい」

「なに?」

「・・・まだわからんか?」

「だから、何がやねん」

「・・・普通気づくやろ」

「全然。なんの話?」

「・・・さっきお前にメールしたやろ」

「うん。話しがあるって・・・あ、話しって何?」

「・・・それは、さっきお前に言われてん」

「・・・・・・えぇ?」




さっきって、

あ、「なんで先に言うねん」って怒られたアレ?

結局あたし何言うたっけ?

その前にあたしが言うたことって・・・









「南が、好きやねんなぁ」









って・・・














「え?」

「・・・気づいたか?」

「え、いや・・・まさか」

「まさかってなんやねん」












「今度噂がなんか流れたら、俺がなんとかする」












「・・・ええ!?」

「」

「・・・・・・はい?」

「今日、体育でダンクしたやろ?」

「へ?あ、うん。見てた」

「あれが見たいって言うたから、したんやで」

「・・・え!?」

「この前からのメール見返してたんや」

「・・・あたしの?」

「したら、ダンク見たことないって、近くで見たいって
 お前メールしてきたやろ」

「・・・した・・・ような・・・?」

「だから、見せたろ思てな」



あたしが、言ったから・・・?

え・・・ちょっと・・・


「え、ちょっと・・・ええ!?」

「わかってきたか?」

「え、うそ!うそや!そんなわけ・・・」





南が、



もしかして、



もしかして、



もしかして、




もしかして、






















「そんなわけ、あるって言うたらどないする?」













あたしのことを 好き?











































(上手くいってるかなぁ?)(あたしらも彼氏ほしいなぁ)
(ここに1人余ってるけど)(岸本うっさい)
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