さぁ、強くならなくちゃ 降っても 晴れても 「、ちゃんと話聞かせてもらおうか?」 南と決別宣言してその次の日。 りぃちゃんとみっちゃんがあたしを囲んだ。 昨日は結局岸本に散々泣きごとを言って時間が経ってしまって りぃちゃんとみっちゃんに言うの忘れてたんやけど 前回同様、岸本がまた連絡網を回していたらしい。 「つうか、なんで毎回岸本から連絡網もらわなあかんの!?」 「わかるわ、腹立つよな?」 「りぃちゃん顔めっちゃ怖い・・・」 苦笑いしつつ、りぃちゃんの方を向く。 りぃちゃんは笑ってなくて、じっとあたしの方を向いた。 「岸本はどーでもええねん!一体どうなってんの?」 納得できない!と、文句を言いみっちゃんもあたしの方を向いた。 あたしはなんて言ったらいいのか、いまいち言葉がまとまらず ちら、と目で南を探していた。 よし、いないな。 きっと岸本とまた学食でも行ってんのかな。 てか諦めるって宣言したばっかりやなのにやっぱり南のこと気にしてるし・・・ 意思弱すぎる。 「?」 「あ、や、えーと・・・あの、岸本なんて言うてた?」 「・・・が・・・南のこと諦める・・・って言うてるって」 「あたしのトコも同じメール着た」 「あー、まぁ、その通りなんやけど」 「せやから、なんでなん?昨日お昼にはまだ好きって言うてたのに!」 「ちょ、みっちゃん落ち着いて」 どんどん大きくなるみっちゃんの声は そのうちクラス中に聞こえそうな気がして、とりあえず止めた。 でもそうやって怒ってくれるのも、なんや嬉しいと思うあたしは不謹慎なんかな。 「・・・噂、あるやろ?今」 「噂?」 「ああ、りぃちゃん昨日教えたやろ。あれや」 「・・・あぁ、あんなの気にしなくてええやん」 「あたしはな、ええねん。でも南に迷惑かけたらあかんな思て」 「・・・・・・え、もしかして噂がたったから諦めるん?」 「え、うん。だって事の発端はあたしやし?」 「せやけど・・・何も諦めなくてええやん。だって好きなんやろ?」 さっきまで怒ってたみっちゃんは、今はなんだか泣きそうになってて なんやこっちまで泣きそうになってくる。 そんなみっちゃんの頭をりぃちゃんが撫でながら口を開いた。 「は、それでええの?」 「んー・・・諦めるの嫌やったけど、噂はよ消したいし」 「・・・せやな」 「えらいなぁは」 半べそかいてるみっちゃんがあたしの頭を撫でてきた。 もうたまらなくて、 あたしも静かに少しだけ泣いてしまった。 「南!」 「ああ?」 屋上で寝転がっている南と、それをやっと見つけた!といわんばかりの岸本。 そして岸本も南の横に座った。 「朝からずっっと聞こう聞こう思てたんやけど」 「・・・なんや」 「お前、の何が気に入らんねん?」 「は?」 「昨日にもう口利かへんて言われたやろ!?」 「・・・ほんまお前には筒抜けやねんな」 「お前とのことやったらなんでもわかるわ」 はぁ、と岸本は大きなため息をつく。 その横で寝ころんでいた南が、身体を起こした。 「岸本」 「なんや」 「、は」 「おお」 「ホンマに、ホンマにオレのこと好きなんか?」 「あほかお前は」 「あぁ?」 「がお前のこと好きかなんてな オレが毎日どんだけ聞かされてると思てんねん!?」 「・・・しらんけど」 「あんだけ言うてて、ホンマもくそもあるか!」 あー腹立ってきた。 そう呟いて、今度は岸本がその場に寝ころんだ。 南は携帯を取り出してじっと見つめる。 その、携帯の画面は・・・ 「パス行ったでー!!」 「まかして!」 6時限目体育。 昨日サボったから、今日は出とかんとなぁ・・・ と渋々参加したバスケ。 反対側のコートでは男子もバスケしてる。 見たいけど、我慢。 見たら、絶対顔に出るにきまってる。 絶対に大声で叫ぶにきまってる。 と、 人が耐えているその後ろで、黄色い声援が沸き起こる。 南かっこいーとか岸本やるなーとか あああ信じられん!鬼!あんたたち鬼や!! とか言いつつ。 ちら、 少しだけ、見てしまった男子コート。 ああやっぱり弱すぎやあたしの意思・・・。 とか反省してたまさにその時、 ガツン!と大きな音がして一気に大きな歓声が上がった。 「っ・・・!」 タオルで口元を押さえる。 南の! 南のダンクシュートまともに見てしまった!!! カッコよすぎるやろ! こんなん見せられたらあたしどないしたらええねん!? かと言って、見なくてもよかったんかと聞かれたらそれは困るんやけど!! 南の出てるゲームが終わった瞬間、女子が南の方へ群がる。 南の周りにはあっという間に人だかりができてしまった。 ぎゅ、と持っていたタオルを握る。 あたしも、あたしも近くに言って話したい。 今の、すごいなって、言いたい。 南の、隣に行きたい。 「!」 正直、空耳かと思いました。 「・・・へ?」 少しだけ、体育館が静かになる。 あたしは背を向けていた方へ向き直る。 え、今呼ばれたのはあたし? そして、今あたしを呼んだのは南? 「、今の見てたか?」 「え、え・・・うん」 「ならええわ」 そう言って、南は持っていたタオルを首に巻きなおして すたすたと体育館の端の方に行ってしまった。 あたしはというと、タオルを頭からかぶって顔を隠して 今試合中のりぃちゃんとみっちゃんを待った。 なん、なんやの今の? な、名前、よ、呼ばれ・・・! てか喋らへんて言うたのに・・・! 話しかけられて、本当はこんなに喜んでちゃあかんのやけど どーしても、どーしても 嫌いにはなれへんし、嬉しくなってまうし。 こればっかりはホンマ仕方がない。 そして放課後。 あたしの心臓が止まってしまうような出来事が起こるんやけど。 体育の時間の浮かれたあたしは、まだ知らんこと。 (ちょ、なんやねんその頭!!) (タオルかぶってんのめっちゃ似合うてるで!!!) (いやいやいや!それどころやないねんて!ちょっと聞いて!) (聞くからまずその頭取れ!!笑い死ぬわ!) 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 → |