しょーがねーだろ、嬉しかったんだから
バレンタインほどの盛り上がりはないが
切っても切れないこの日。
そう、今日はホワイトデーです。
「あ、花形ー高野ーおはよ」
「おお、か」
「あ、花形、今日何の日か知ってる?」
「・・・いきなりなんだ?」
「もーホワイトデーだよ!?紙袋2つ分のお返しは!?」
「・・・いや、正直どーしていいわからなくて毎年何もしてないんだが・・・」
「えぇー?いいのそれ?」
「だってな、顔もわからない人にどーやって返せと?」
「・・・ふーん、そーいうもん?」
「・・・いや、知り合いから貰った分は返すけど」
「ていうか、」
「ん、何?高野」
「俺にもなんか聞けよ」
「え?高野まさかチョコもらったの?」
「・・・まさかってなんだ」
「だって・・・まさかでしょ」
「お前マジ失礼だな」
「・・・もらったのか?」
「花形、お前もか」
「何がだ?」
「もーいいよお前ら!!」
高野は捨て台詞を言って、ずんずんと先に行ってしまった。
それを花形と見送って、それから花形があたしの方を見た。
「お前は、どーなんだ」
「・・・へ?」
「・・・いや、早く教室行った方がいいぞ」
「なんで?」
「・・・ウチのキャプテンが首を長くして待ってるから」
「!!」
へんなプレッシャーを与えられて、教室入りづらかったけど
入らないワケにもいかないので教室に向かう。
そして自分の席に向かうと
隣の席の男が、じっとこちらを見ていた。
「おう」
「お、おはよ」
ぎこちなかったかな?
と思いつつ、席に座る。
隣の男、藤真はやっぱりこちらを見ていて
そして口を開いた。
「」
「ん?」
「今日、ホワイトデーだけど」
「うん・・・あ、藤真は紙袋4つ分のお返しはどーすんの?」
「ばか!あんなもん返せるわけねーだろ!?」
「あははは!まぁ、うん、そーだよね」
「何笑ってんだ」
「いや、そんな必死に言うから・・・」
あたしは変なツボに入ったらしく、まだ笑いを噛み殺していた。
そんなあたしを見て藤真がちょっとムッとした顔をして
イスごと、あたしの方へ寄ってきた。
「うわ近っ」
「ん」
「へ?」
藤真はどこかに隠し持っていた紙袋から
机に可愛い包み紙の箱を置いた。
「やる」
「・・・あ、ホワイトデー?」
ありがとー、とその箱を手に取る。
リボンをほどいて、中身を見るとそこにはクッキーが入ってた。
「おいしそー」
「」
「え?」
「これも」
「は?」
「あと、これも」
「え?」
「んで、これも」
「ちょ!?」
「で、これまで!」
「ストーーーップ!!!」
気付けば、あたしの机には最初に貰ったクッキーと
あと4個の可愛い箱が置かれていた。
「なんだよ」
「何これ!?」
「お返し」
「いやいや多いって!」
「大丈夫、中身全部違うから」
「中身の問題じゃないでしょ」
「いいんだよ。俺の気持ちだから」
「!」
バニラケーキは
彼の腕
(こ、こんなに貰えないって!)(から手作りチョコもらったからな)
(あ、あたしの手作りにそんな価値ないよ!?)
(俺が嬉しかったからいーんだよ!)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「ひとさじの愛をください」の続きみたいな。
おだい
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