一番欲しいのは、君からの。
今日は全国の乙女がときめくバレンタインデー。
学校に着くと、みんながそわそわしていて
女の子たちは各々ラッピングされたチョコレートを手にしていた。
「あ、花形」
「え、ああ、か」
「おはよー・・・うわ!」
ひときわ目立つ身長の花形を見つけて、声をかける。
なんかやたら荷物多いなって思ってよく見たら・・・
「ちょ、花形それ全部チョコ!?」
「あ、ああ。多分」
「すご・・・!」
「・・・正直、どうしていいかわからないんだが・・・」
「ちょっと!もっとテンション上げようよ!」
いやーしかしすっごいねー・・・と呟くと
花形はめがねを直して、一言。
「藤真は、毎年これの倍くらい貰ってるけど」
「!!!!!?」
「・・・・・・」
「ふじま・・・?」
「あぁ?」
教室に入って席に着く。
そして隣の席の王子藤真クンに声をかけたら
いきなりガン飛ばされました。
「・・・なんだ、じゃん」
「ガン飛ばしといて、なんだはないでしょ」
「うるせぇな、俺は今日機嫌がわりぃんだよ」
「せっかくのバレンタインなんだからさ、愛想よくしてなよ」
「アホか!こんなにいらねぇよ」
そう言って、藤真は机の横にかけていた
紙袋をバシバシと叩いた。
見てみると、紙袋は4袋くらいあった。
「うわ!すごい!花形の言ったとおりだ」
「花形?なんつってたんだよ」
「いや、花形が紙袋で2つ分くらい貰ってて
藤真はその倍くらいもらうって言ってたからそのとおりだなって」
「なんだそれ」
相変わらず不機嫌そうだったけど、少しだけ藤真が笑った。
ちょっとは機嫌直ったかな?
「・・・おい」
「なに?」
「お前は持ってきてねぇの?」
「なにを?」
「なにって・・・」
「あ、チョコ?」
「・・・それだよそれ」
「あたし貰う専門なんだよね」
「はぁ?お前女だろ!?なんで貰うんだよ」
「だってお菓子大好きなんだもん」
「・・・なんだそれ・・・!」
藤真がなんか言いたそうだったけど、
ちょうどいいタイミングで先生が入ってきて会話が途切れて
藤真の顔見たら、さっきと同じイライラした顔に戻っていた。
(あれ、なんかあたし怒らせた?)
ちょっと気になって
机の下でこっそりと藤真にメールを送ってみた。
すると、藤真がメールに気づいてチラッとあたしの方見て
また自分の携帯に目線を戻すと、カチカチとメールを打ち出した。
「!」
しばらくして、自分の手の中で携帯が震えた。
メールが届いていて、開いてみると藤真からだった。
"別に、怒ってねー"
なんか、怒ってる?って送ったら、この返事が着た。
怒ってるように見えるけど、怒ってないと否定されてしまって
なんて返事をしようかなぁって考えてたら、
もう1回携帯が震えた。
「?」
届いたメールを開くとまた藤真からだった。
"もっかい聞くけど、チョコねぇの?"
このメールにちょっとびっくりして
さらに、なんて返事していいか迷った。
迷った結果さっきと同じ、返事をした。
・・・だって、持ってきてないし・・・
すると返事が返ってこなくて、
そのままHRが終わって先生は出て行ってしまった。
先生がいなくなって、教室がまたざわついてきたけど
あたしはなんか気まずくて、藤真の方見れないていると
藤真が、いすを引きずってあたしの隣まで来た。
「近っ!え・・・どしたの?」
「なんでもいいから、お菓子出せ」
「は?お菓子?」
「なんか持ってんだろ!ポッキーとか!」
「あ、ポッキーは持ってる」
「それ出せ」
「え?藤真そんなにチョコもらってるのにポッキー?」
「いいから寄こせ!」
「もーなんなの!」
「うるせぇな!俺はホントはからしか貰いたくねぇんだよ!!」
「・・・・・・・・・・・・!」
ひとさじの
愛をください
(ちょ、藤真それどーいう・・・)(ンだよ言わすのかよ)
(え、言ってくれないとわかんない・・・!)
(じゃ、明日チョコケーキな)(え、1日遅れだけどいいの・・・?)
(もちろん手作りな)(!!!!!?)
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おだい
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